緊急避難させた湿地の植物のゆくえ(その4)
エコシステムマネジメント室の朱宮です。
4月23日~24日に宮城県南三陸町寺浜地区で新年度最初の避難させた湿地植物の保全作業を行いました(これまでの湿地植物の避難作業の様子は こちら )。
夏が来る前にヨシやガマなどを除去し、ミズアオイやミズオオバコなどの絶滅危惧種を含む湿地の植物が復元できることをめざしています。宮城大学の神宮字先生とその学生たち、南三陸町役場ネーチャーセンター準備室、ネーチャーセンター友の会、南三陸復興推進ネットワーク、環境省石巻事務所のアクティブレンジャーの方が手伝いに来てくれました。
最初は上の写真のようにヨシやガマの周辺が陸地化しているところが多かったのですが、これらを根ごと除去することで下の写真のような湿地が戻ってきました。この日は晴天で4月にしては暑かったのですが、同行したNACS-Jの亀山理事長と岩橋経営企画部部長も汗を流しながら慣れない根っこ取りを行いました。
▲湿地が戻ってきた様子。NACS-J亀山理事長も泥だらけになりながら丁寧に仕事をしておりました。
▲泥と戯れる岩橋経営企画部部長…。
今年度もモニタリング調査を行う予定です。もし、ミズアオイが増えているようであれば、他の田んぼにも少しずつ移植して増やしていくことも考えています。隣の田んぼでは、南三陸復興推進ネットワークが、酒米づくりを行っていて、地元のお酒を造る「おら酒プロジェクト」を今年も行う予定なので、絶滅危惧種を保全する酒づくりを一緒に行えればと思っています。
▲津ノ宮漁港「タブノ木」にて、ワカメが終わり今度はホヤが出始めました。
▲入谷地区にあるYes工房。南三陸産のスギ材を使った工芸品やオクトパス(置くとパス)という合格文鎮、シルクの小物(入谷産ではないがゆくゆくは地元で生産されたものを使いたいとのこと)などが売られていました。
入谷地区では、昨年からふれあい調査を実施しています。入谷地区にはイヌワシが繁殖していたこともあり、イヌワシの里として紹介されることもありましたが、震災以降生息が確認されていません。そこで、赤谷プロジェクトととも協力してイヌワシが住める環境作りを進めていこうと地元の方と検討をしています。(参考:赤谷プロジェクトでの、イヌワシが住める環境創出試験についてはこちら)