会報3・4月号で、皆さまからお寄せいただいたお雑煮情報を紹介しています!
広報・編集部の増沢です。
会報『自然保護』2015年1・2月号では『お雑煮の多様性と生物多様性』で風土食あふれる各地のお雑煮をご紹介しました。(ウェブサイトでもお雑煮MAP公開中!
これに合わせて、実際にお雑煮の多様性を探るため、皆さまのご家庭の味を教えてほしいとお願いしたところ、たくさんのレポートをいただきました。皆さまありがとうございました!!
(←関東のお雑煮。神奈川県横須賀市の実家では、昆布と鰹の出汁に醤油仕立て。鶏ササミ、小松菜、椎茸、三つ葉、柚子、海苔が入ります。小松菜は横須賀産、角もちは自分たちで育て暮れについたものです。(NACS-J大野))
届いたお雑煮情報は、会報でも紹介した奈良県の『きなこ雑煮』や福岡県博多の『博多雑煮』をはじめ、北は宮城、南は沖縄まで、地域色豊かなものばかりです。
島根県松江市からは、会報でご紹介した『あずき雑煮』を実際につくられている方から「子供の頃、ぜんざいとお雑煮は言い方が違うだけで同じものだと思っていました」とのお便りがありました。やっぱりそうなんですね。お雑煮MAPをつくりながら、「島根県の方は、あずき雑煮とぜんざいをどう区別しているんだろう?」と気になっていました。
一方、同じ松江市でもあずき雑煮を食べないという家の方からは、「松江ではあずき雑煮が有名ですが、それは武家の家系の話のようで、 一般庶民は、ほかの出雲地方と同じ、すまし汁に岩海苔と鰹節を入れただけのシンプルなものです」との情報も。お雑煮のお椀の中には、「家のルーツ」が今でも映しだされているんですね。海とのつながりが感じられる岩のりのお雑煮もおいしそうです!
宮城県南三陸地域の「焼き干したアナゴ」でダシをとったり、宮崎県日向市美々津町の「ちりめんじゃこ」をダシと具に使うというお雑煮も特徴的。
愛媛県西予市宇和町からは、「我が家は、母から『雑煮は、正月早々、葉物がグッタリしたところを見ないように、葉物は入れない根菜のみのお雑煮を作るように』と言われています。 その他の決まりはなく、何を入れてもかまいません」といった、禁忌ルールのあるお雑煮情報もとどきました。「餅を食べてはいけない」という事例は各地にあるようですが、「葉物を食べてはいけない」のは珍しいですね。
愛知県からは「カツオだし醤油仕立て、餅菜と餅のみ」というシンプルなお雑煮の情報が3件届きました。『餅菜』は『正月菜』ともいわれる小松菜の近縁種で、愛知県尾張地域の在来の菜類だそうです。今では生産量が少なくなっている餅菜ですが、尾張地域のお正月には欠かせないもので、自宅で自家用に育てている方もいるとのこと。
奈良県のきなこ雑煮に入る「祝いだいこん」や、博多雑煮の「かつお菜」も各地の在来の野菜です。
このような地域在来の伝統野菜を守りつないでいくことは、生物多様性保全の大事な要素のひとつで、愛知ターゲットでも目標13の中に盛り込まれています。『お雑煮』のような伝統料理ををつないでいくことで、伝統野菜の種の多様性が守られ、生物多様性保全につながっていく。そう思うと、ますます大切にしたい一杯です。
会報2015年3・4月号でも「お便りコーナー」(p27)で、皆さまからのお雑煮情報を写真付きで紹介しています。
※ウェブサイトでも公開しています。
ぜひご覧ください!
★そのほか、みなさまからいただいたお雑煮投稿情報は↓でご覧ください。
(↑お正月に、千葉県大網町の家で食べた「はばのり雑煮」。うちでは、「はばのり」と「鰹節」、「普通ののり」を手でちぎったりして切って、お重にいれて、それをスプーンですくってお椀(お味噌味)に入れて食べています。お餅は、普段は角餅だと思いますが、今年はもちつき機で自宅で作ったので自然に丸餅になっています…。はばのりは、生産量が少なく手に入りづらくなっていますが、ここ数年は、我が家がはばのり好きだと知った家の近所の方が、添付の海の海岸の岩場で採った、お手製のものをくれるようになりました。はばのりの味が濃厚でとてもおいしかったです!!!(NACS-J萩原))
●レポート数:26
●レポート都道府県:20 / 宮城、新潟、栃木、千葉、東京、神奈川、長野、愛知、滋賀、三重、奈良、兵庫、香川、愛媛、島根、山口、福岡、熊本、宮崎、沖縄
●登場した食材の数:28種 / 鮭、鶏肉、ブリ、ちりめんじゃこ、にんじん、だいこん、じゃがいも、ごぼう、たけのこ、玉ねぎ、餅菜、小松菜、ほうれんそう、白菜、長ネギ、えのき、しいたけ、とうふ、かまぼこ、ちくわ、糸こんにゃく、ゆず、セリ、三つ葉、いんげん、ノリ、はばのり、あずき
来年も引き続き「お雑煮しらべ」を行いたいと思います。
皆さま、来年もよろしくお願い致します!