イヌワシの衝突事故も起きている岩手県の風力発電所の増設計画に対応しています。
岩手県釜石市、遠野市、大槌町にまたがる丘陵地帯に「釜石広域ウインドファーム」と名づけられた風力発電施設があります。この施設は、世界有数の風力・太陽光発電企業であるユーラスエナジーによって運営されています。
現在の出力は4万2900キロワットですが、ここに新たに今の2倍以上の最大10万キロワットの施設を増設する計画が進められていることが分かりました。すべて完成すれば総出力14万キロワットを超える国内最大の風力発電施設になります。
しかしこの一帯は、絶滅危惧種でもあるイヌワシ個体群の東北地方の中核地域であり、何つがいものイヌワシの生息地の真っただ中にあたり、増設計画による狩場の消失や風車への衝突による個体の喪失が危惧されます。
現在のウインドファームの建設の際もイヌワシとの関係が指摘されましたが、営巣地から遠いことと衝突確率は極めて低いことから問題なしとされ2004年12月に運転開始されました。
ところが、それから4年も経たない2008年9月、メスのイヌワシの死体が風車タワーの下で見つかり、ブレードによる裂断死と考えられました。
今回の増設計画に当たり、このことの検証と対策がどのようにとられているか、昨年12月15日にNACS-J事務局に関係者を招いて聞きました。結果は、検証はしていない、対策はタワーに色や模様を施すことなどにとどまる、近く環境アセスメントの準備書を出すのでその過程で指導があればそれに従う方針とのこと。また、一度失敗したにもかかわらず、衝突する確率が低いという確率論をまったく同じように使っていることに違和感を持ちました。
環境アセスの過程の中で、問題点を指摘する必要を強く感じています。釜石のイヌワシの生息情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください。
(横山隆一/参事)