危機に瀕したヤナセ天然スギの保護と活用を検討しています。
高知県の北東部の安芸郡馬路村魚梁瀬地区を中心に分布するヤナセ天然スギの取り扱いについて検討する委員会(四国森林管理局主催)に今年度、委員として出席しています。
もともとヤナセ天然スギは、四国の中でも安芸、馬路、魚梁瀬、奈半利、野根という高知県の北東部のみに分布し、過去には上記の地域全域にスギが分布していましたが、ほとんど伐り尽くされました。
検討委員会の資料によれば残存する林地面積は約1100ha、うち約200haは保護林になっていますが、残りの900haは森林施業林として現在でも利用できる状態にあります。
ただし、ここ2年は天然スギの運搬にかかる費用の採算が見込めないことから伐採が見送られています。特に、胸高直径90cm以上の個体が10本/ha以上の森は約100haのみとなっており、まとまった大木の森はほとんど失われてしまいました。
NACS-Jは、①ヤナセ天然スギの森の伐採はすぐに中止すること、②残存するヤナセ天然スギの林分は保護林とすること、③この検討会は今年度で終了するため、来年度以降もヤナセ天然スギの取り扱いについて専門家や林業家など関係者からなる検討の場を設置し、保護のあり方だけでなく林業の育成やブランドのあり方など保護と活用について包括的に検討していくことを求めていきます。
▲ヤナセ天然スギが比較的まとまって見られる林分の林内の様子。