アユモドキ意見書、その後。
保護・研究部 志村です。
NACS-Jの保護活動の基本に、「なくなりそうな自然を守る」があります。
なくなりそうな自然の中でも、「種の絶滅」は、とりかえしがきかない、とても深刻な問題です。しかし、日本では、まだ種が絶滅することを軽く安易に考えているとしか思えない開発計画が少なくありません。
京都府の亀岡周辺の水田地帯は、アユモドキという魚の近畿地方に唯一残る生息地です。棚田の石垣等伝統的な里山景観があることから、ラムサールの潜在登録候補地にも登録されています。しかし、そこに京都府によるスタジアム建設が計画されているのです。
京都府では、公共事業の妥当性を「公共事業評価委員会」という会議で検討しています。アユモドキの保全策の是非なども含めて判断される場ですが、NACS-Jだけでなく、多くの学会や国の機関もこの計画の問題を指摘しているにもかかわらず、委員会が開催され、十分な科学的根拠がない保全策を根拠に、手続きが進められることが危惧されました。
今月8日、NACS-Jは意見書を提出し、事業の見直しを働きかけました(*意見書「種の保存法指定種アユモドキ生息地を保全し、京都スタジアム計画の見直しを求める意見」 )。
委員会の開催はいまのところ見送られているようです。しかし、まだまだ今後の動きに注視が必要です。
種の絶滅は、いきなり起こるのではありません。ぽつりぽつりと地域で絶滅し、最後に地球上から姿を消したときに、取り返しがきかなくなっているのです。
アユモドキにとっては、京都府亀岡は近畿地方で唯一の生息地。いま、ここで生息地を守ることが、とても重要です。
*NACS-Jは、絶滅が危惧される開発見直しの働きかけのほか、地域の皆さんとの保全活動、種の保存法の改正に取り組んでいます。ご支援、どうぞよろしくお願いします。
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