銘木ヤナセスギの生育地を視察してきました。
11月5日にヤナセスギの取り扱いに関する検討委員会があったことをご報告していましたが(「高知県の銘木ヤナセスギの取り扱いについての検討委員会に参加しました。」)、12月2日に実際にヤナセスギの現場をみてきました。
高知龍馬空港から車で3時間余り、ゆずのジュースで有名な馬路村にある和田山国有林をみました。
今年の夏の台風で林道が途中で崩壊しており、途中からは30分ほど歩いたところに、目的の林小班の入り口がありました。林道を歩く途中にも胸高直径100cm、樹高30mを超えるおよそ300年生と思われるヤナセスギが点在しているのが観察できました。平均斜度45度の急傾斜地が続き、四万十層の崩れやすい地形地質の場所でありながら、年間降雨量は3000mmを超えるとのこと。大きくなってもなお成長を続けているということで、スギの成育適地となっていることがうかがえます。
▲100cm超えるヤナセスギの巨木林300年生以上も含む
江戸の時代から林業が盛んで、ヤナセスギのブランドで知られる銘木であることから体径木を抜き切りする択伐施業が行われてきたことで、大きな木から亜高木、低木、稚樹、実生とすべての段階のスギの後継樹がみられ独特の林内景観を作っていました。
しかし、ブランドに頼ってしまい過伐により資源が少なくなってきていること、ヘリ集材となるのでコストがかかること、枝打ちなど製品管理がなされなかったことで使える材が個体の樹高の半分以下だけであること(上半分は1万円/m3、下半分は25万円/m3だそうで、ヘリで集材すると運搬コストがかかるため上半分は切り捨てとなる)、などにより伐採木の選木は行われたが昨年は伐採を行わなかったそうです。
最後に2012年に植林された文化財資源備蓄林を見学しました。ヤナセスギが枯渇しつつある中持続的に活用していく高齢級の人工林として期待されています。こうした人工林をヤナセブランドとして持続可能な形で活用できる仕組みをつくる必要があります。
▲文化財資源備蓄林(約100年生)の林相、本来は神社など伝統建築のために備蓄された人工林。ここをヤナセスギの代わりに持続的に活用できないか検討している。