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首都圏に残る貴重な自然「多摩川河口干潟」の羽田連絡道路計画に
日本野鳥の会、WWFジャパンと意見書を提出しました。

2014.11.17
告知

多摩川河口干潟に影響を及ぼす羽田連絡道路の建設に対する意見書(PDF/151KB)

【プレスリリース】首都圏に残る貴重な自然「多摩川河口干潟」に悪影響を及ぼす「羽田連絡道路」建設計画の見直しを求め、内閣府・国交省・神奈川県等に申し入れ(PDF/576KB)


2014年 11月 17日

内閣総理大臣 安倍晋三 様
国土交通大臣 太田昭宏 様
神奈川県知事 黒岩祐治 様
川崎市長 福田紀彦 様
羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会 座長 和泉洋人 様

公益財団法人 日本野鳥の会
公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン
公益財団法人 日本自然保護協会

多摩川河口干潟に影響を及ぼす羽田連絡道路の建設に対する意見書

多摩川河口は、塩性植物群落と河口干潟を有する東京湾唯一の自然環境であり、国土交通省の多摩川河川環境管理計画でも、自然保全ゾーンと生態保持空間に位置づけられている大都市圏に残された貴重な環境です。
人間にも動植物にも高い価値を持つ多摩川河口干潟を活かすことは、国際戦略特区においても、個性的で活力ある地域づくりになると考え、以下を表明し、要望します。

  1. 良好な干潟生態系が形成されている多摩川河口干潟を破壊する羽田連絡道路の建設に反対します。
  2. 羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会において、環境保全のために、環境保護団体や研究者を含めた公開の議論の場を設けることを求めます。
  3. 多摩川河口干潟の自然環境は、本特区の重要な地域資産として位置付け、体験、観察、研究ができるよう生物多様性保全エリアとして整備することを提案します。

(理由)
埋め立て等により多くの干潟が失われた東京湾奥部にあって、多摩川河口干潟には、今なお良好な干潟生態系が形成されています。プランクトンからゴカイ類、貝類、藻類、魚類、渡り鳥に至る多様な生物で構成される生態系は、水質の浄化、都会の中で本物の自然に触れられる自然観察や散策の場などとして、多くの生態系サービスを供給しています。

多摩川河口干潟には、レッドデータブック掲載種が、環境省基準16種、神奈川県基準37種を数え、山階鳥類研究所の標識調査結果の資料では、米国アラスカ州、豪州各地などからのシギ・チドリ類の渡りが確認されています。

こうしたことから、多摩川河口干潟は、環境省の「日本の重要湿地500」及び「モニタリングサイト1000事業シギ・チドリ類調査地」、国際的な鳥類保護組織であるバードライフ・インターナショナル(BirdLife International)選定の重要野鳥生息地(IBA;「東京湾奥部」)に指定されています。多摩川河口干潟の重要性から、日本野鳥の会と世界自然保護基金ジャパンは2006年に連絡道路が構想された際にも見直しを求めました。

羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会において、国道357号整備の方針が出されています。羽田連絡道路は、すでにある首都高速横羽線、首都高速湾岸線、国道15号に加えて新たに整備される国道357号の、約5kmの範囲の中にさらに作られる道路になります。国道357号が整備されると、羽田空港と川崎市殿町地区は約15分で結ばれます。重要な自然環境と引き替えにしなければならないほどの必要性のある道路とは考えられません。

複雑で多くの人が関与する環境問題の解決には市民の参加が重要であることは、国際的にも一般的な考え方になっています。京浜臨海部基盤施設検討会において課題となっていた「環境」面の検討を、羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会において、環境保護団体や研究者を含めて公開の場で議論することが重要です。

以上

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写真:多摩川河口干潟の環境とこの干潟を代表する鳥類オオソリハシシギ(4枚目)/写真提供:日本野鳥の会神奈川支部


資料1.多摩川河口干潟で確認されたレッドデータブック掲載鳥類

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