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高知県の銘木ヤナセスギの取り扱いについての検討委員会に参加しました。

2014.11.06
活動報告

icon_syumiya.jpg 保護・研究部の朱宮です。

11月5日、高知県の四国森林管理局において「ヤナセ天然スギの今後の取り扱いに関する検討委員会」があり参加しました。

皆さんはヤナセ天然スギというのをご存じでしょうか? 高知県の県木に指定され、高知県の北東部の安芸郡馬路村梁瀬地区を中心に分布しています。

馬路村は最近「ゆずジュースごっくん馬路村」などゆずを使った産品があちこちでみられることからご存じの方もいらっしゃるかと思います。古くから江戸城や大阪城に献木されるなど銘木として土佐藩により厳重に管理されてきたようです。近年では変化に富んだ杢目や特有の香りがあり、柱、天井板、造作材として利用されてきたとのこと。

しかし、天然更新のサイクルを無視した過伐により再三供給計画を見直したにもかかわらず、このまま伐り続ければ数年で資源が枯渇するという段階にまできてしまいました。
秋田スギや木曽ヒノキの天然木と同様の状況です。

秋田スギは、平成25年度以降は計画的な伐採を中止し、伝統的な日本建築を支える材や曲げわっぱなど工芸品のために、100年生以上の人工林を代替材として供給することになりました。木曽ヒノキについては、厳重に保存する区域、復元する区域を設定し、平成26年6月に管理委員会を設定して取り扱いに関する基本計画を策定する予定となっています。いずれにしても、一旦供給を見直しています。

ヤナセスギについては、すでに胸高直径90cm以上の個体は2000本程度しかなく、奥地に点在しているためヘリで集材するしかなく、それだけ搬出コストがかかるということです。しかし、材の価格は低迷する傾向であり、出せば赤字となるようです。したがって、保全とともに60年生程度まで生育している高齢級の人工林をいかにブランドとして付加価値をつけて市場に出して赤字を出さずに販売できるかということも課題となっています。

銘木の保全と持続的な利用に向けて今年度中に方針を決め、平成30年度以降の森林計画に反映していくことになります。よい方向性が打ち出せるよう知恵を出していきたいと思います。

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