濃飛横断自動車道計画の予定地近くでオオタカのものと思われる巣が見つかりました。
保護・研究部の辻村です。
日本自然保護協会に会員の方から、岐阜県中津川市で計画されている濃飛横断自動車道(リニア関連工区)計画の予定地近くに猛禽類のものと思われる巣があるとの情報を頂きました。
そこで、11月19日に現地を確認しにいきました。
地元の方に案内していただき現場に向かうと、巣のある木は胸高直径が70㎝もあるスギの大径木で、複数年にわたって巣材を積み上げたようにみえる立派なものでした。巣の直下には落ち葉に埋もれず、まだ腐食していない鳥類の骨が散乱していました。
こうした状況から、この巣はオオタカのものである可能性が非常に高く、かつ今年の繁殖期には利用されていた巣であることがわかりました。
▲オオタカのものとみられる巣
▲巣の直下に落ちていた鳥類の骨
この事は20日付けの朝日新聞名古屋版に掲載されました。そこで、緊急に要望書を作成し、岐阜県及び中津川市に26日に提出してきました。また、あわせて岐阜県庁では道路整備課と都市政策課の担当者とも協議を行いました。
岐阜県は、オオタカの巣の確認を受け、環境調査を行うことを公表していましたが、日本自然保護協会からは、路線が決定されてから環境への影響を回避・低減する措置を考えた場合、採用する事のできる対策が限定されてしまい、その結果、環境アセスメントが意味がないものとなることを主張しました。
そして、路線を柔軟に変更できなければ環境への影響を回避することはできないし、計画路線の設定された場所は世界的に見て貴重な里山環境であり、白神山地が世界遺産になったことと同じ自然の歴史の価値を持つ場所での開発であることを認識し、公開された場で科学的に評価し、路線を変更する必要性を科学的に説明した上で、地域住民としっかりと話し合い、誰もが納得できる路線にしていくべきだと主張しましたが、ここは平行線でした。
今後も調査が科学的に行われるのか、透明性のある場で影響の回避策が議論されるのか、などを注視していきます。
これ以上、生物多様性を犠牲にしてまで必要な事業かも含め、この道路計画が根本から見直されることを強く求めていこうと思います。