生物多様性条約COP12で「UNDB DAY」を開催しました。
保護・研究部の道家哲平です。
日本が提唱し実現した「国連生物多様性の10年2011−2020(UNDB)」。
この10年が始まって世界各地で新たな取組みが始まるものの、目標達成には倍以上の努力が必要という中間評価の中で、流れを変える特別な1日を設けようと、
日本のUNDB日本委員会(UNDB-J)関係者、生物多様性条約事務局主催、環境省、IUCN-J共催、プログラムディレクター:日本自然保護協会による1日がかりのイベント「UNDB DAY」を10月14日に生物多様性条約締約国会議(COP12:韓国)のCEPAフェアで開催しました。
ブラウリオ生物多様性条約事務局長と、星野一昭環境省参与の挨拶から始まり、午前の部では、国連生物多様性の10年の世界キャンペーンの話やUNDBの国内委員会を設けている日本、ドイツ、中国の事例紹介と経験の交流を行いました。
日本は、UNDB-J委員を代表して吉田正人(IUCN-J会長、日本自然保護協会専務理事)が業や市民による活動宣言を集めるにじゅうまるプロジェクトなどの取組みを紹介。パネルディスカッションは、ルイザ・ディグス(IUCN-教育コミュニケーション委員会運営委員)氏が進行し、課題や次の行動として計画していることなどを話し合い、中には、UNDB国内委員会同士の世界会議を開いてはどうかといったアイディアや、普及啓発から日々の行動を変えたり、行動を促すところまで働きかけることの重要性を話し合いました。
午後の部ではUNDB-Jの若もの、市民、NGO,企業の各セクター委員から事例発表を行いました。
生物多様性わかものネットワークと生物多様性世界ユースネットワーク(Global Youth Biodiversity Network)によるユースの参加の促進、
市民セッションでは宮本育昌さん(CEPAジャパン)によるMy行動宣言と生物多様性アクション大賞、呉地正行さん(ラムサール・ネットワーク日本)による、にじゅうまるプロジェクトと田んぼの生物多様性向上10年事業。
自治体セッションでは、真野豊岡市副市長(生物多様性自治体ネットワーク代表)から、コウノトリの野生復帰事業とともに展開された地域づくり、経済づくり、人づくりの事例発表、
海外事例では、アメリカ合衆国ハワイ州・持続可能な地域づくりコーディネーターのティールさんから、島嶼国として力を入れている「外来種対策」や水確保のための水源確保の取組み、
最後に企業セクターから、古田尚也さん(IUCN日本プロジェクトオフィス)が進行役で、経団連自然保護協議会(UNDB-J委員)のメンバーの、大成建設、サンデン、住友林業から発表していただきました。
午前、午後のセッションを通じて「国連生物多様性の10年」を支援する意思を表明するため、UNDBポスターへの署名をお願いしたところ、皆快く応じてくれました。A1サイズのポスターを埋め尽くす「UNDBへのサポート」は、夕方に会場を移して開かれたフィナーレの取組み「UNDBハイレベルイベント」へとつながっていきました。
UNDBハイレベルイベントでは、各国の代表者や国際機関が、UNDBの推進に向けた決意表明を行いました。
モルディブからは、モルジブ国をまるまる生物圏保存地域(日本では、ユネスコエコパークという名称)にする取組み宣言があり、
インドからは2016年までに生物多様性条約締約国のすべてを名古屋議定書締約国にしようという宣言が、
韓国からは、Bio-Bridgeという技術支援を必要とする国と技術提供できる機関を橋渡しする新しい取組みの紹介がありました。
ほかにも、ニックセルバ氏(国連開発計画・持続可能な開発部門部長)、マルコス・シルバ(ワシントン条約)氏などから相次いでUNDBと愛知ターゲット達成のための取組みを宣言。
IUCNからは、各国の生物多様性国家戦略策定・実施支援の取組みや、第6回世界公園会議、世界自然保護会議を通じた様々な取組みの成果を2020年に開催予定の世界自然保護会議で生物多様性条約に還元していくことが宣言されました。
色々な成果を得たイベントでした。国連生物多様性の10年日本委員会全体としてのセッションがあり、委員会メンバーそれぞれの活躍があり、それらが最後に、ハイレベルでのUNDB支持の決意表明にまで至るという一連のイベントを行うことで、今回日本のチームワークの強さを発揮したイベントとであったということが私にとっての成果です。
このように協力関係を作り、動いている様子を実例として見せることで、国内委員会(ナショナル・コミッティー)の有効性・必要性を各国に示すことができたと思います。COP期間中のどのイベント見ても、この「UNDBの日」以外政府・自治体・企業・市民・ユースが一丸となって作ったイベントないと思います。この成果を次に活かしていかなければなりませんが、まずは、このようなイベントの実現を支えてくれた多くの関係者の皆さんに御礼申し上げます。