被災地で緊急避難させた湿地の植物のゆくえ(その3)
引き続き保護・研究部の朱宮です。
つづく10月12日は気仙沼市西舞根地区を訪れました。
ここは、NPO法人森は海の恋人の畠山さんが住んでいらっしゃる地区です。昨年も舞根地区におじゃまして津波後に復元した湿地と西舞根川に沿った渓畔林の調査をさせていただきました(調査の結果は「東日本海岸調査報告書」参照)。
今回は、ここも復興事業が進み湿地に影響が出たと畠山さんから聞き、湿地の状況を確認することとしました。
西舞根地区では6カ所2m×2mのプロットを設定して植生調査を行いました。まずは、昨年もっともよい状態で残されていた東舞根地区の個所ですが、隣の地区に抜けるトンネル工事の真下だったためにすでに消失していました。
▲2013年8月19日の湿地の様子
▲2014年10月12日の同じ場所の様子。
では、他の場所は?
カワツルモが見られた塩生湿地とフトイやサンカクイが見られた奥の湿地は残されていました。前年に調査した箇所の再調査を行いましたが、組成はほぼ変わっていませんでした。
下の写真は高台移転先から西舞根川広域をみたものです。急ピッチで復興事業が進んでいることがわかります。川の右岸側は農地復旧が進んでおり、湿地の調査プロットの一つは消失してしまいました。もう1箇所は絶滅危惧種を含む貴重な湧水湿地でしたが、わずかに残されてはいましたが、一部がすでに埋められてしまいわずかに残っているだけでした。
▲高台の移転先からみた西舞根河口部の様子
畠山さん達が残せないか協議をしているけれども残すのは難しいそうだとのこと。被災地における自然環境保全の難しさを痛感しております。
川の左岸は森は海の恋人が所有しているようなので、同様の湧水があるような適地がないか探し、間に合うようであれば移植ができないか検討しています。