大浦湾のユビエダハマサンゴ群集の調査を行いました。
引き続き、保護・研究部の安部です。
6月1日は14名の調査員の協力のもと、大浦湾のユビエダハマサンゴ群集の調査を行いました。このポイントでは2005年から年1回ペースを目標に調査を行っています。
▲ユビエダハマサンゴ群集の調査の様子
辺野古・大浦湾は冬の方が透明度が高いので、通常は冬に調査をしていました。6月のこの時期は雨も降り、濁りが高いので調査用のマーカーを探すのも大変でした。
GPSとコンパスを頼りにラインを引き、昨年とほぼ同じ場所にて調査をしました。一般的にサンゴ群集は、このような泥場は好まず透明度が高い場所にありますが、大浦湾では珍しく規模の大きいユビエダハマサンゴ群集があります。
今回の調査ではユビエダハマサンゴ群集の上や下に、スズメダイやチョウチョウウオ、クマノミなどの魚類やコブシメ、クサビライシ、ミズタマサンゴなど多様な生き物がこの場所を利用している健全なサンゴ群集であることを確認できました。
▲ユビエダハマサンゴ群集の上を泳ぐコブシメ
午後は11名の調査員でジュゴンのはみあとを調査・記録しました。キャンプ・シュワブから50mほどの場所、つまり米軍基地ができるまさにその場所にジュゴンが確かに餌を食べに来ていることを確認しました。(下写真)
絶滅危惧種のジュゴンが餌を食べにきて、アオサンゴ群集やユビエダハマサンゴ群集などが大きく広がる、このような生物多様性豊かな海を埋め立てるべきではありません。
沖縄の新聞には以下のようにNACS-Jのコメントが掲載されました。
◆琉球新報:
・(防衛局の調査で)ジュゴンはほとんど嘉陽にいて辺野古にはいないとされていたが、そうではないと証明された。
・ユビエダハマサンゴ群集は本島全体でも良好な状態で棲息している
◆沖縄タイムス:
・サンゴの群生が豊かな海を支えている。だが作業ヤードや基地が建設されれば、潮流が変わるなど、悪影響が懸念される
・(ジュゴンのはみあとは)まさに基地建設予定の海域。政府は辺野古の藻場の使用は少ないというが、それは違う。
・(7月にはボーリング調査が始まるとされているため)制限水域が広がれば潜れなくなる。みんな、今のうちに食み跡を見たいと集まった。来年はリーフチェックできるだろうか、と懸念した。
<新聞報道>
沖縄タイムス●辺野古サンゴ良好に生息 ダイバーら調査
琉球新報●大浦湾のサンゴ「良好」 埋め立て予定海域を調査
徳島新聞社●辺野古の沖、サンゴおおむね健康 ダイバーが海生生物の生息調査
▲漁港にて集合写真(共同通信提供)