南アルプスと只見のユネスコエコパーク登録に対してコメントを出しました
南アルプスと只見のユネスコエコパーク登録に対するコメント(PDF/1.39MB)
2014年6月12日
南アルプスと只見のユネスコエコパーク登録に対するコメント
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章
本日(現地時間6月11日)、スウェーデンで開催されたユネスコの会議で、南アルプスと只見のユネスコエコパーク(生物圏保存地域)への登録が決定されました。
自然と人のよりよい関係を築くため、長年の努力を積み重ねてこられた両地域の皆さまに感謝するとともに、これらの地域が国際的な評価を得られたことを心からおよろこび申し上げます。
ユネスコエコパークは、移行地域を設定していることが従来の保護地域と大きく異なる点です。最も重要な核心地域を守るためには、それを取り巻いて保護する緩衝地域、さらにそれらを支える地域である人のくらしを含めた移行地域を配して、全体として健全で持続可能なものとするという考え方に基づく先進的な保護地域の理念です。
今回登録された両地域は、2012年7月に登録された宮崎県綾地域に続き、移行地域まで含めて登録された第二、第三のものです。世界に誇る貴重な核心地域とともにくらす皆さんの生活が、持続可能で豊かなものであることを実践していくことが、これからの自然保護の形であると期待しております。
一方で、南アルプスユネスコエコパーク登録地域では、リニア中央新幹線が地域を貫通する計画となっており、自然の価値を下げ、人と自然との関わりを妨げることが危惧されています。
さる6月5日には、リニア中央新幹線の環境影響評価書に対する環境大臣意見が発表されました。事業者は、環境大臣や沿線住民から指摘されている多くの問題をどのように解決すべきかに加え、ユネスコエコパークという世界的な価値を持った地域において事業を進めようとしていることを改めて自覚し、社会的責任を全うするべきと考えます。
以上