早春の里やまで調査講習会を実施しました(後編)
保護・研究部の後藤ななです。
3月の里地調査講習会後編をお送りします!(前編はこちら)
3月の最後の土曜日だった29日には、岩手県一関市にあるコアサイト「樺ノ沢」に東北の調査サイトの方々にお集まりいただき、植生図とアカガエル類の調査講習会を実施しました。
岩手県や宮城県、そして山を越えた山形県にあるコアサイト「天狗森」からも多くの調査員の方にご参加いただき15名ほどでの開催となりました。気温は20℃まであがり、とてもポカポカ陽気だった当日。樺ノ沢の田んぼの畦にはつくしが頭を出しはじめ、水路の泥のなかでは小さなドジョウたちが活発に動きはじめていました。
植生図調査は、落葉樹林や針葉樹林も見分けが付きやすく、林内なども歩きやすいこの季節に行うのが良いとされています。
講師をしていただいた千葉中央博物館の尾崎煙雄さんからは「50年前に自分の見ているサイトの植生図があればどんな変化があったのか比較できるのに、と思いませんか?」「今植生図を作れば50年後の人が比較をすることができる。そんな未来の人たちのために植生図を作りましょう」というお話をいただきました。
また、植生図づくりを通して改めて調査サイトを見ると、日頃当たり前に目に入っていた景色を鳥の目のように詳細に見ることができ、記録に残すことで昔と今との変化を客観的に多くの人と共有することができます。
当日は、はじめに屋内で航空写真をみながら作図を行い、その後に外で答え合せをするように実際にサイト内の植生を確かめに行きました。講習会には地元農家さんにも参加していただき、サイト内にある草地や井戸の経緯などを聞きながら確かめることができました。
▲屋内で描いた植生図との答えあわせ
午後からはアカガエル類調査でした。温かくなった陽気に誘われて、1週間少し前に産卵された卵塊からは、たくさんのおたまじゃくしたちが孵化しているところでした。講師の植田健仁さんには、アカガエルの成体をみながら雄と雌の違いやニホンアカガエルとヤマアカガエルの特徴について解説していただきました。
野外では徐々に畑の準備なども始まっており、日頃から里地調査にご理解とご協力いただいている農家さんたちにも見守っていただきながらの講習会となりました。
▲ひょっこり頭を出すニホンアカガエル
▲何かいる?
今日から4月となり、全国の多くの調査サイトではこの早春のアカガエル類や植生図の調査はひと段落となる頃かと思います。そして、今年も野山で花が咲き始め、チョウが舞い、鳥たちの恋の季節がやってきます。また次の里地調査シーズンのはじまりです。
全国各地で里地調査にお力添えをいただいている皆さま、本年度もどうぞよろしくお願いいたします!
(→春ですね♪)