鳥獣保護法改正に関する要望書を環境大臣と民主党に提出しました。
2014年4月8日
環境大臣
石原伸晃 殿
民主党
代表 海江田万里 殿
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章
鳥獣保護法改正に関する要望書
「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」の改正案が先月閣議決定され、内容が大きく変更されようとしています。同法は日本の生物多様性を保全するための重要な法律であり、当協会は1999年の同法改正以来、度々、意見を述べてきました。今回の改正案について、以下の提言を述べます。
提言:鳥獣捕獲等事業者制度を進めるにあたっては、認定事業者を監督する専門家を都道府県に配置することとセットで導入すべきである。
個体数増加が著しく生態系サービスを低下させる恐れのあるニホンジカ等の種の保護・管理を推進させるために、今回の改正案で盛り込まれた「捕獲等を専門に行う民間事業者の認定」を行うことは、当協会も必要であると考えます。ただし、この認定制度を進めるにあたっては、下記の2つの理由から、認定事業者を監督する専門家を都道府県に配置することとセットで導入すべきと考えています。
理由1)従来以上に捕獲圧を高めることによって、ツキノワグマやその他希少動物の錯誤捕獲の増加や、鉛弾の増加に伴う猛禽類などへの鉛中毒の増加が懸念されます。従来の行政の仕組みでは十分に監督できていない自治体も多い中で、今後増えると予想されるこれらのリスクの回避は、従来の行政機関だけでは実現できません。
理由2)従来は、猟友会という、伝統的に技術が蓄積され、地域の事情に精通した団体が中心となって、現場の鳥獣の捕獲や被害防除などの計画作りや、管理が行われてきた実態があります。しかし今後、ニホンジカの個体数の増加に伴って個体数調整のための捕獲事業が増えると考えられます。そのため、様々な能力をもった民間事業者の事業を調整し、地域全体の野生動物管理を監督する行政官の野生動物管理の知識と経験が必須と考えます。言い換えると、認定制度という捕獲圧を高める「アクセル」だけでなく、認定制度を科学的根拠に基づき調整する専門的な行政官を「ブレーキ」としてセットで導入しなければ、科学的かつ効果的な野生動物管理は実現できません。
以上