中池見湿地付近環境事後調査検討委員会に対して要望書を提出しました。
2014年1月31日
中池見湿地付近環境事後調査検討委員会に対する要望書
独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構
理事長 石川 裕己 殿
公益財団法人日本自然保護協会
理事長 亀山 章
NPO法人ウェットランド中池見
理事長 笹木 智恵子
NPO法人中池見ねっと
代表理事 岡本 正治 田上 猛
NPO法人ラムサール・ネットワーク日本
代表理事 共同代表
柏木 実 呉地 正行 花輪 伸一 堀 良一
福井県敦賀市の「中池見湿地」は、湿地の希少性と豊かな生物多様性のため、世界的な保護区であるラムサール条約の登録湿地となっており、また越前加賀海岸国定公園として法的にも保全されています。その中池見湿地の一部に北陸新幹線の路線が貫通する計画が策定されており、建設に伴う環境への重大な影響が懸念されています。御社では2013年11月16日より将来の路線建設工事による影響評価や予測のための調査計画などについて話し合う専門家の委員会(中池見湿地付近環境事後調査検討委員会)を設置・開催されましたが、いまだ資料や議事録等の検討内容の公表がなされておらず、また調査計画書が公表されていないにも関わらず、すでに現場では調査が始まっています。
以上のことから私たち4団体は次の2点を強く要望します。
①中池見湿地付近環境事後調査委員会の内容と結果を公開し透明性のある会議としてください。
中池見湿地では市民・行政・NGOの協働による保全・活用のための協議会づくりにむけた準備会合が始まっており、多くの主体がこの湿地に関わっています。また、国際的な保護地域として来訪者も多く、ラムサール条約事務局からも問い合わせがあるなど、国際的にも今回の委員会の動向が注目されています。中池見湿地の将来に重大にかかわる本委員会については、資料や議事録等の検討内容をすみやかに公表するとともに、会議を一般傍聴可能とするなど、十分な透明性を確保してください。
②調査計画が十分な科学性を持ったものであることが説明・検証されたうえで調査を開始してください。
今回の調査は新幹線路線建設に伴う中池見湿地周辺への自然環境への影響を正確に予測し、影響が及ばない手立てを検討するための重要な調査です。調査計画案を公表し、特に地元住民・NGOなど関係者には詳細に説明を行い、計画書が十分な科学性をもったものであることが検証されたうえで調査を開始すべきです。
▲路線計画のある中池見湿地・後谷(うしろだに)。山に囲まれた谷で、広い湿地とは違った生物相をもっている。