今月の表紙
ニホンアカガエル
撮影・解説 小此木宏明(NACS-J)
宮崎県綾町で「人と自然のふれあい調査」の現地調査中に見つけたニホンアカガエル。古民家横の斜面をソロリソロリと歩いていました。人と自然のかかわりが深い里やまで出会える種です。ニホンアカガエルをはじめとした生きものたちがこれからも生きていけるような豊かな自然を大切にしていきたいと思います。
CONTENTS
★特集
国土強靭化法がやってきた
2013年12月、「国土強靭化法」が制定されました。同じころ成立した秘密保護法に比べても、ほとんど報道されることもないまま成立したこの法律は、防災・減災を掲げてつくられた国の基本法です。この法律を基に、政府は各種基本計画の改正を行い、インフラ整備事業や公共性の高い施設の堅牢化を強力に推進しようとしています。
すでに日本列島には、くまなく防潮堤や鉄道、道路などの建設といった大型のインフラの整備計画があります。
国土強靭化法の成立以前から、地方自治体レベルでも小規模な事業の計画が多くある上に、さらに今後、「国土強靭化」の冠をつけた公共・民間事業が加わることが予想されます。計画されている事業の中には耐震化や老朽化への対策という防災・減災上必要かつ重要な事業もあります。
しかし、リニア中央新幹線や東北沿岸の巨大防潮堤のように、生物多様性の恵み豊かな日本の自然環境を傷つけてまで、本当にその場所に必要なものかどうか、地域が望む持続的な暮らしのために本当に役立つものになるのか、十分な議論や調査がなされないまま巨額の税金を投じて急速に、大規模に進められようとしている計画が数多く見受けられます。
これから日本各地で何が起きるのか、私たちはこの法律にどう向き合っていけばいいのか、しっかりと考えていかなくてはなりません。かつて「日本列島改造」で多くの豊かな自然が消失した時代、雨後のタケノコのように次々と自然保護問題が起きた時代に戻るわけにはいきません。今回の特集では、国土強靭化法の成立で見えてきた自然保護上の問題点を知り、これからの活動に備えます。
●国土強靭化法を読み解く
一体どんな法律なのか?/あらゆる事業に適用される可能性!/情報公開規定はなく民主性、透明性はゼロ!/国民に協力する義務が発生?/環境の配慮については実効性がない!/自治体の意見を反映させるすべがない
●これからどうなる? 自然保護活動
●リニア計画で危機!日本最大のハナノキ個体群
★NACS-J活動クローズアップ
●辺野古:各方面から環境保全対策の不備を指摘されたにもかかわらず辺野古の埋め立てを承認。
●中池見湿地・北陸新幹線計画 透明性と科学性を持った調査とするよう意見書を提出。
●風力発電施設と野生生物の衝突事故の現場を見つけたら情報をお寄せください。
●生物多様性地域戦略の実践実例集が完成しました!
●「アジア保護地域憲章(仙台憲章)」ができました。
●沼田眞賞授賞式・記念講演会&セミナー「日本の自然のちからを知る」を開催しました。
●「署名の要望には応じず計画通り全面造成する」との回答に強く抗議します!
●「日本のカメ探し!」報告書が完成&来年のテーマは「トンボ」です!!
●新宿御苑ネイチュア・フィーリング自然観察会参加者&リーダー大募集!
●2014年度の自然観察指導員講習会日程が決まりました!
●「2014年全国一斉自然かんさつ会」スタート!お近くの観察会にご参加ください。
会報『自然保護』9/10月号に同封した会員アンケートにご協力くださった皆様、本当にありがとうございました。
★今日からはじめる自然観察
今回は足元の小さな小さな植物、コケを紹介します。
早春は、多くのコケ植物にとって、胞子を散布する季節です。
ぜひ、ルーペ(10~20倍がおすすめ)でコケ植物の世界を覗いてみてください。
★シリーズ 新・生命の輪 47
「絶対送粉共生関係」が生んだ
コミカンソウ科の雄花と雌花の匂いの違い
クジャクの羽根やカブトムシの角など、動物では雌雄で違う形質を持つことがよく知られていますが、植物ではまれ。そんな珍しい雌雄の違いを持つコミカンソウ科の植物の進化の秘密を探ります。
★NEWSハイライト
・アライグマとフクロウが樹洞を取り合う?!
・外来種のキタリスに早急の対策を日本哺乳類学会要望書提出
・諫早・開門と開門差し止め。なぜ矛盾する判決に?
★読者の広場
掲示板/お便り/次号予告・新入会員/Nature Navi
★BOOK&PRESENT
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