米軍普天間飛行場の名護市辺野古への埋め立て申請承認に対し強く抗議する。
米軍普天間飛行場の名護市辺野古への埋め立て申請承認に対する抗議声明(PDF/144KB)
2013年12月27日
米軍普天間飛行場の名護市辺野古への埋め立て申請承認に対する抗議声明
公益財団法人日本自然保護協会
理事長 亀山 章
本日、仲井真弘多沖縄県知事が、米軍普天間基地移設のため国が申請した名護市辺野古の埋め立て申請を承認した。これは、公有水面埋立法第4条「環境と災害への十分な配慮」を満たしていないという、法律を遵守していない行為である。公益財団法人日本自然保護協会は強く抗議する。
2012年2月に環境影響評価書に対して、仲井真弘多知事は「評価書で示された環境保全措置等では、事業実施区域周辺域の生活環境及び自然環境の保全を図ることは不可能と考える」と公表した。
その後、評価書は補正されたが、本計画が有する根本的な問題は何も解決されていない。次に行われた公有水面埋立の手続きでも、問題は解決されるどころか、新たに深刻な問題が次々と発覚し続け、沖縄県は度々国に解決を求めてきた。
公有水面埋立手続きにおける関係者の意見の取り扱いも不明確である。同法に基づき提出された名護市長意見、当会を通じて提出された787通を含む約3,000通の市民からの意見、環境団体の意見、そして県環境生活部の意見には明らかに環境対策に不備があると記されている。これらの意見をどのように受け止め判断したのか、明らかにする必要がある。
また、埋立土砂に伴う問題が未解決である。環境影響評価の手続きで再三指摘を受けながら、国は公有水面埋立法の手続きまで詳細を明らかにしなかった。埋立土砂調達予定地には侵略的外来種であり、サトウキビなどへの被害が懸念されているアルゼンチンアリが繁殖している。
外来種はいったん入ると根絶は難しい。沖縄県はマングースやマツクイムシなどの外来種を未だ駆除できず、世界遺産登録の重要な要素となる固有種への影響排除が課題となっている。新たな外来種の侵入をどのようにして防げるのか、具体的な対策を示す必要がある。
しかし、本日の知事の会見は、これらの課題がどのように解決したのかについて、県民はもちろん、関心を寄せてきた国民が理解し納得できるものではなかった。
これでは、環境影響評価法や公有水面埋立法など法的に行われてきた手続きとは全く関係なく、政治的な判断がなされたと思わざるを得ない。
公益財団法人日本自然保護協会は、国と県に事業の透明性の確保を求め、ジュゴンやウミガメをはじめとするサンゴ礁生態系の環境保全措置が担保されない限り、県に埋立申請の承認を撤回することを求める。
以上