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モニ1000里地 全国サイト間交流会@大阪を開催してきました!(中編)

2013.11.18
活動報告
icon_goto.jpg  こんにちは、保護・研究部の後藤ななです。
 
モニ1000里地調査全国サイト間交流会 中編をお送りします。
 
全国サイト間交流会の2日目は、会場を大阪府立大学サテライトキャンパス「I-siteなんば」に移して、ミニシンポジウムとワークショップを実施しました。まずは、午前中のミニシンポジウムの様子をご紹介します。
 

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▲写真:ミニシンポジウムの様子
 
◆2日目(午前):ミニシンポジウム
 
午前中は、関西の調査サイト(調査地)の皆さんから、日頃の調査活動の紹介をしていただきました。
まずはじめに、大阪府枚方市にある「穂谷の里山」の調査をされている大阪自然環境保全協会の岡秀郎さんと枚方いきもの調査会の鈴木郁央さん、秋枝伸志さんに発表いただきました。
穂谷の里山では、全国の200ヵ所の里地調査地で唯一“トンボ調査”を実施されています。発表では、穂谷の里山の概要や植物相とトンボ相の調査の結果の報告していただきました。穂谷の里山では、長年にわたり調査の結果を地元農家の方々に還元されており、調査への理解が継続的に得られるようになったり、希少なトンボの個体数が増えたことを伝えたことで無農薬へやる気がさらにあがったというエピソードもご紹介されました。
 
続いては、大阪府池田市にある「五月山緑地」で調査を実施されている五月山グリーンエコーの中川勝弘さんから発表をいただきました。
五月山グリーンエコーの皆さんは、森林整備や環境教育などの活動しており、5年前から里地調査に参加されました。参加動機には、森林整備をしていく上で、自然の変化は自分たちの活動への通信簿と捉えて、里地調査の結果を順応的管理に活かそう、というものだったそうです。今では、調査地の尾根筋で現植生を活かしながら整備していくための3年間の計画書の策定段階からモニ1000里地調査のデータを活用して、整備を進められています。
ただ一方で、モニ1000里地調査の全国でとった環境条件アンケートからも大阪の北部、都市近郊では近年シカ害の被害は深刻化しているという報告があり、ここ五月山緑地も例外ではないようです。中川さんからも近年、イノシシ・シカの食害が多くみられるという報告をいただきました。こうした結果から、モニ1000里地調査事務局としてもデータを活かし、警鐘を鳴らしていきたいと思います。(詳細については後日、ニュースレターで報告する予定です。)
 
午前中最後の発表は、NPO法人蒲生野考現倶楽部(滋賀県蒲生郡日野町)の中野雅夫さんと岡正利さんから地域の方を巻き込む工夫と、この春に発行された5年間の調査結果をまとめた報告書について発表いただきました。
蒲生野考現倶楽部の皆さんは、地域の行事に調査の報告会を組み込んでもらって、調査成果として得られた貴重な動植物のこと、そしてその現状や懸念についても地域の方々に伝えているそうです。また、地域の方々が自ら環境保全活動していくきっかけづくりとして報告書を作成されました。この報告書は、地元の参加者の方からの声も重視して、見やすく美しいレイアウトを心がけたそうです。
 
午前の発表の後、「モニ1000里地調査には今回の農村地も含まれる調査地も多いけれど、もっと地元農家の皆さんがこのミニシンポジウムに聞きに来るようになれば」、というコメントもいただきました。発表にもあるように、調査を実施されている市民団体の皆さんから地元農家の方々に調査成果の還元を全国でなさっていますが、今後も、里やまでの生活を営む農家の方々、地元の方々とこの里地調査がより距離を縮められるように努力をしていきたいと思います。
 
◆モニタリングは地域の自然の健康診断
 
モニタリング調査は地域の自然の健康診断といえます。健康診断で異常な値がでたときは治療を行う必要がありますが、こうした調査も継続的に実施して結果を蓄積するだけではなく結果を活用してこそ意味があります。
結果の活用方法はさまざまで、保全施策や里やまの管理につなげるといったこともあれば、地域の自然の貴重さを明らかにして、“大切にしたい”と思う人を育てるための普及に役立てることも大切な活用例です。
今回発表いただいた特徴的な活動に加えて、全国200ヵ所の里地調査の調査地では多岐に及んだ成果の活用がなされています。NACS-Jでは、これからもモニ1000里地調査のシンポジウムやニュースレターなどで、こうした各地の成果活用事例をどんどんご紹介していきたいと思います。今後もご注目ください!
 
(後編に続きます。)
 

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