リニア中央新幹線が地下を通過する長野県大鹿村を訪問してきました。
保護・研究部の辻村です。
9月7日に、大鹿の100年先を育む会の方に呼ばれ、リニア中央新幹線が地下を通過する長野県大鹿村を広報編集部の増沢と訪問してきました。
昼間は、伊那谷自然友の会主催のジオツアーに参加し、地質学者の松島信幸先生のご案内で、リニアが一部地上に表れる予定の谷の地質や、近くの釜沢集落の水源地を見学しました。
▲地質学者の松島先生の現地説明の様子
川沿いでは断層も確認でき、地質的にもろい場所であることがわかります。また水源のあるところは破砕帯にあるため、細かく割れた礫が堆積しており、そこから湧水が湧き出ています。こうした場所の地下にトンネルが作られると、こうした湧水には大きな影響が出ることが予測できます。
▲河原の地質断面。断層が確認できる
←釜沢集落水源地近くの湧水
増沢が、現在の湧水量を定量的に継続して把握しておくことが重要であると指摘させていただくと、地元の方からは具体的な方法や場所に関する質問が熱心になされていました。
夜は、私から今月中にも公開されることが予測される、アセスの準備書についての要チェックポイントや、パブコメの書き方についてプレゼンをさせていただきました。これについても熱心に質問や意見がだされました。皆さん、ご自分の生活や村の将来に直接関わることですので、非常に関心が高く、どうしたら効果的なパブコメになるのかについて、深く議論をすることができました。
これまでの公共事業では苦渋の選択を強いられ受け入れざるを得ない声無き多くの声がその背景にありました。「風景がなくなるということは歴史がなくなること」という先人の言葉を今を生きる我々は深くかみしめ、この問題を考える必要があると思います。