泡瀬干潟のサンゴの調査をしてきました。
保護・研究部の安部です。
9月14日のブログ「海水温上昇による沖縄のサンゴの白化の様子についての報告が届きました」にてお伝えしたよう、この夏は沖縄島周辺で特に水温が上昇し、サンゴやイソギンチャクが白化する現象がサンゴ礁の浅瀬のイノーで見られています。
9月6日には泡瀬干潟を守る連絡会とNACS-Jが定点観測を行っている場所の様子を見るために、連絡会のメンバー2名と一緒に調査に行きました。
普段は調査ポイントまでの移動は船を使うのですが、今日は歩いてみました。調査ポイントに到達するのに2時間かかりました。
▲干潟を歩きなれている小橋川さんと前川さんはどんどん先を歩いていきます。お二人とも70歳なのにお元気で、私一人遅れて歩きました。
高水温でサンゴが真っ白になっているのではないかと心配していましたが、枝が部分的に白化している群体は見られたものの、広がる群集全体に及ぶ影響は低いようです(白化は生きている群集の1%未満)。調査海域ではイソギンチャクやキクメイシの仲間などに白化しているものも見られましたが、総じて健全な状態を保っています。
▲ヒメマツミドリイシの白化している部分
▲ヒメマツミドリイシ群集の全体の様子。お昼過ぎの日差しが最もきれいな時間帯にあたり、水面にもサンゴ群集が映っています。
▲ヒメマツミドリイシ群集の近くではイソギンチャクが白化していました。
▲スズメダイとチョウチョウウオの幼魚が多く見られました。泡瀬干潟は生き物のゆりかごであることがわかります。
調査海域の付近では工事が着々と進んでいます。8月までは陸上の工事が行われてきたのですが、9月より海の工事も再開されています。調査海域の近くでは汚濁防止膜を広げて作業をしている様子が見られました。
▲工事が海上で進んでいます。
▲汚濁防止膜の固定に使われる金属部分が豊かな海草藻場を踏みつけています。
この夏の高水温にはこの海の多くの生き物が耐えられたものの、すぐそばで土砂の投入を行っているのでは影響が及ぶのは当然です。
ここ数年、生きているヒメマツミドリイシ群集が減り、死滅したヒメマツミドリイシ群集が多くなってきています。また特に死んだ貝類が目立つようになりました。
サンゴや貝など自分で動くことが出来ない生き物に土砂をかけたら死んでしまうということは誰でもが知っていることです。夏の高水温を耐えたサンゴたちを守っていくのためにも、泡瀬干潟の工事は即刻中止すべきだと思います。
5時間半にわたる干潟歩きにお付き合いいただいた泡瀬干潟を守る連絡会の前川盛治さん、小橋川共男さん、ありがとうございました。