慶良間諸島国立公園の指定に関して意見を出しました。
慶良間諸島国立公園の指定に関する意見(PDF/135KB)
2013年9月20日
環境大臣 石原伸晃 殿
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章
慶良間諸島国立公園の指定に関する意見
数多くの島々と岩礁からなる沖縄県・慶良間諸島地域の国立公園指定に向けての動きは喜ばしい。本海域には多種のサンゴ類が高密度に生息し、沖縄島へのサンゴの供給源となっており、ザトウクジラの繁殖海域であり、多様な生態系や地形を含むことは、本海域の保全が他海域の保全上も重要であることを示している。陸から海まで島嶼生態系を包み込むような規模の大きな今回の国立公園指定は、日本の海の生物多様性保全上重要な第一歩であることと高く評価できる。
しかしながら、普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認願書によると、今回指定が予定されている慶良間諸島国立公園内の渡嘉敷東部とチービシにおいて、同事業に用いる埋め立て用の海砂採取が予定されている。予定地は普通地域内に位置するものの、国立公園内の行為として適切ではないことは明らかである。また海域公園地区予定地と隣接していることから、海域公園内に海砂採取の影響が及ぶ可能性も高い。環境大臣は国立公園内での海砂採取を許可すべきではなく、事業者に対してはその旨指導すべきである。
生物多様性を保全し、同時に持続的な利用を徹底するために、真に生物多様性を保全できる海域公園を設定していくことが必要である。これは生物多様性条約第10回締約国会議(CBD-COP10)の議長国として、愛知目標(戦略計画2011-2020)の目標11「2020年までに、少なくとも陸域及び内陸水域の17%、また沿岸域及び海域の10%、特に、生物多様性と生態系サービスに特別に重要な地域が、効果的、衡平に管理され、かつ生態学的に代表的な良く連結された保護地域システムやその他の効果的な地域をベースとする手段を通じて保全され、また、より広域の陸上景観又は海洋景観に統合される。」を達成するためにも必要な要件である。
参考文献:
日本自然保護協会(2012)日本の海洋保護区のあり方~生物多様性保全をすすめるために~
沖縄防衛局(2013)普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認願書
▼図1:慶良間諸島国立公園区域 公園計画図(環境省資料より)
▼図2:埋立土砂等の採取場所及び搬入経路図(普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認願書より)
※慶良間諸島国立公園の指定に関する資料は下記環境省のサイトからご覧いただけます。
●慶良間諸島国立公園(仮称)の指定に関する意見の募集について
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=17044