辺野古公有水面埋立承認願書に対し、利害関係者としての意見を提出しました。
辺野古公有水面埋立承認願書に対する意見書(PDF/143KB)
2013年7月2日
沖縄県知事 仲井真弘多 殿
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章
日本自然保護協会は、辺野古・大浦湾海域において、海草藻場モニタリング調査「ジャングサウォッチ」やチリビシのアオサンゴ群集の調査などの現地調査を行い、辺野古・大浦湾の生物多様性の豊かさに注目し、その保全を訴えてきました。
日本自然保護協会は1951年に設立され、28,000人の会員に支えられて、日本の自然を守る活動をしてきた団体です。辺野古・大浦湾海域の自然を失うことは、長年取り組んできた豊かな自然を失うだけではなく、これらの人々の信頼や想いをも裏切ることとなり、当会にとっては計り知れないほどの大きな損失となります。
辺野古・大浦湾は生物多様性豊かな海域です。外洋的環境から内湾的環境の特性を持つ大浦湾と、サンゴ礁生態系の辺野古が一体となって存在していることにより、生物多様性が高く、保全が強く求められている地域です。
ここには、沖縄島周辺において最大の規模の海草藻場が広がり、絶滅危惧種であるジュゴンが餌場として利用しています。また2007年には世界でも記録のない規模と形を有する大きなアオサンゴ群集が発見され、ここ数年の間にも多くの甲殻類や貝類が発見されています。
今年に入ってからも、4月にはこれまで利用されていないと考えられていた深場のウミヒルモ群落で新たなジュゴンの食み跡が発見され、5月には新種の甲殻類であるニシヒラトゲコブシが発見されました。
これらの事実から、この海域の有する生物多様性の豊さは未知の部分が多く、十分に解明されていないと考えられます。生物多様性のホットスポットを、十分な調査や評価をしないまま、失おうとしていることは、将来世代へ大きな禍根を残すことになります。
埋め立ては、サンゴ礁の自然に不可逆的な変化をもたらすものであり、一度行ってしまうと、もとに戻すことはできません。
本年6月29日と30日に沖縄で開催された「地球温暖化防止とサンゴ礁保全に関する国際会議~環境と共生した豊かな美ら島づくり~」においても、世界的にサンゴ礁が危機に瀕しているため、積極的に保全することの大切さが確認されたばかりです。
沖縄県知事には、良好なサンゴ礁である辺野古・大浦湾の生物や環境を失うことの大きさを再度ご認識いただき、市民が真の意味で自然と共生し、自然の恵みを享受できる方法を検討くださいますよう要望致します。
今回提出された公有水面埋立承認願書および添付図書である環境影響評価書に記された内容では、辺野古・大浦湾海域の豊かな自然を守ることは不可能です。
沖縄県知事が、沖縄県の宝であるサンゴ礁海域を失わないよう、良識に基づく判断を下すことを望みます。
以上