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「東北の未来を考える 防潮堤を再考するシンポジュウムⅡ」に参加してきました。

2013.07.16
活動報告
icon_shimura.jpg  保護プロジェクト部・志村です。
7月13日に開催された、「東北の未来を考える 防潮堤を再考するシンポジュウムⅡ」に参加してきました。
会場は、仙台の東北学院大学。冒頭に、佐々木俊三・東北学院大学副学長/東北学院大学災害ボランティアステーションから問題提起がなされました。
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気仙沼を訪れて同窓会と話してきた。巨大防潮堤は生活者の基盤を失わせることになるという同窓生の訴えに、気仙沼市長も一度は理解してくれたものの、村井県知事からの圧力があり、国の基準に従わずに独自の工法をとるわけにはいかない。気仙沼だけ基準に従わないと、気仙沼が国から見捨てられる、と言うに至ったという。
国の経済力を支えていくためのエネルギー確保に原子力が必要という論理は、これだけの被爆があってもまだまかりとおっている。大きな水害から守るという論理は、国の津々浦々にダム建設を可能にした。流通をより強固にするためには、国を新幹線で結び、道路で結ばなくてはならない。
すべて、小さなものが大きなものに、丸め込まれていく論理だと思う。この大きなものが地域のちいさな人たちをすっぽり占拠するために、メディアの巨大なネットワークが利用された。
もちろんその結果、私達の生活は飛躍的に便利になった。しかし、言わなければならない歴史を知っている。便利が、必ずしも幸せを私達の生活に導くことになっていない。
もうひとつは、数と量の論理。市場は量の論理、すべてのものが同質として値段がつけられ交換される。しかし、量になり得ない質が存在している。沿岸住民の命を守るために巨大防潮堤をという論理は、浜の空気や土壌、循環し濾過し命をはぐくむ水、これらをみな同等のものとみなしている。
東北の未来を考えるという表題のとおり、今日は参加していただた方に再考、注意喚起される機会となることを祈っている。原発に反対した国民の輪が国会を包囲しました。巨大防潮堤に反対する国民の輪が広がっていくことを祈っている。
という、ずしりとくる問題提起をいただきました。
シンポジウムでは、会報『自然保護』7/8月号特集「このままでいいのか!? 防潮堤計画」に登場していただいた、気仙沼市の阿部正人さんや清野聡子・九州大学准教授も登壇。
現地からの報告、現在の海岸をとりまく問題点や見直しのための手がかりなどが紹介されました。
東北大学の占部城太郎さん(生態学)、東北学院大学の千葉昭彦さん(経済学)からは、学術的な面からの問題指摘や提案。釜石市唐丹町花露辺(けろべ)の自治会長さんからは、元々防潮堤はなかった集落だったが、普段からのコミュニティの結束力などから、巨大防潮堤ではない復興を提案、粘り強く合意形成した結果を市に要望した経緯などが紹介されました。
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会場からの意見で、巨大防潮堤問題に取り組んでいる地域住民の方々から、この問題に沿岸のみんなでネットワークをつくって取り組んでいこうという提案もあり、地域住民にも十分計画が知られていない状況を変えていく必要があることが確認されました。
九州大学・清野聡子さんは、NACS-Jの沿岸保全管理検討WGのメンバーでもあり、日本の海岸政策は以前から多くの問題を抱えており、それが東日本震災によってより深刻になっていると説明されました。
NACS-Jでは、東北の巨大防潮堤をはじめ、沖縄の辺野古サンゴ礁の公有水面埋立、嘉陽の高潮対策などの自然保護問題に取り組みながら、日本の海岸のしくみを見直していくことを提案したいと考えています。
*辺野古サンゴ礁埋め立てへの意見書、いよいよ〆切まであと2日となりました。
NACS-Jにお送りくださる場合は、17日までにいただければ助かります。
https://www.nacsj.or.jp/katsudo/henoko/2013/04/post-62.html
みなさんから寄せられたご意見。(ご本人のご了承をいただいてご紹介しています。)
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