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100年間の調査の大仕事をいかに続けていくか

2013.06.28
活動報告
icon_goto.jpgこんにちは!保全研究部の後藤ななです。
先週の水曜日に「モニタリングサイト1000関連団体連絡会議」に出席してきました。
モニタリングサイト1000、正式名称「重要生態系監視地域モニタリング推進事業」は、環境省の事業として行われ、全国の1000カ所程度のモニタリングサイトで基礎的な環境情報の収集を100年間行おうというものです。現在11もの生態系タイプに分かれて調査が行われ、その調査体制もさまざまです。
例えば、市民と協力して実施している調査は、NACS-Jが事務局をしている「里地調査」のほかにも、森林・草原やシギ・チドリの調査などがあります。
一方で、湖沼調査では非常に同定の難しいプランクトンの調査なども含まれており、こうした専門性の高い調査では大学や研究所に委託して調査が行われています。
市民参加型調査で興味深かったのが、砂浜の生態系をみるためのウミガメ調査です。
ウミガメの調査では、里地調査と同じように、昔から市民の方と協力して調査を実施されてきました。
・・・というのも、ウミガメ調査では年間での初上陸した日付や年間上陸した回数など、毎日のように海岸に通いつめてなければ把握できないようなことが調査に含まれているため、
一部の研究者だけでは実施困難であり、心強い市民の方々の存在によってはじめて実施が可能になったのだそうです。
今回のこうした横断的な会合は4年ぶりの開催でした。
この会議では、それぞれの調査の進捗や今後の課題について共有しました。
話し合いのなかで、全体的に課題として話に上がっていたのは「いかに調査を今後に引き継いでいけるか」ということでした。(まさに1月のシンポジウムでの話題と同じですね。)

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専門家の調査でも市民参加型の調査でも、後継者の問題や持続していくためのモチベーション維持の課題は共通して語られていました。
呑み会のようなフランクな場をつくり長年調査をされている方々の熱い”想い”と新しく参加してきた学生の”若さ”を刺激し合っているという事例が紹介されたり、保全施策への活用や研究成果としての実績づくりを積極的に進めてはという意見もでました。
また、全国にまんべんなく分布する調査員の方々を各調査横断的につなげていけないかという意見も。たしかに、里地のサイトだけみると県内に調査サイトが1ヶ所だけというところも数ヵ所ありますが、モニ1000全体でみるとすべての都道府県に数ヶ所以上は調査サイトがあります。こうした今までにない横のつながりを作っていければ、モニ1000全体盛り上げていくための新たな可能性が広がりそうだなぁ、と思えました。
20130627sitemap_R.jpg
(環境省モニタリングサイト1000モニタリングサイト一覧より)      
100年先という、私たちが生きていないだろう未来へ、いかにこの調査の意志と手法を伝えてゆけるか、一日だけでは答えは定まりませんでしたが、これからも悩みつつ調査員の皆さんと一緒に向き合っていきたいと思います。

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