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おもしろカメ話vol.2 「カメQ&A ~カメは万年も生きる?~」

2013.06.28
解説

おもしろカメ話vol.2「カメ Q&A ~カメは万年も生きる?~」

Q  カメってどんな足跡?

A こんな風に足跡がつきます。(右写真)→
ぬかるんだ地面なら、肢としっぽの跡が残るので、探してみましょう。

Q カメは万年も生きる?

A 1万年は大げさですが、カメは長生きします。
野外での生態的研究から、イシガメにもヤエヤマイシガメにも、50歳を超えて生存する個体がいることが分かっています。クサガメでは45歳になるまで飼育された例があります。国外のカメではカロリナハコガメが138年間、ヨーロッパヌマガメが120年以上生きた例があります。これらのカメは体重が1kg前後です。小型であるにもかかわらず、人間なみの寿命を持つわけです。
ワニガメやカミツキガメのように体重が10kgを越えるカメは、おそらく100歳を超えることができるでしょう。
そして体重が200kgを越えるゾウガメでは、すでに成体になっていたときから152年間も飼育されたセイシェルゾウガメ「マリオン」や170年以上も飼育されたガラパゴスゾウガメ「ハリエット」が知られており、200年以上生きることができるかも知れません。

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Q カメの年齢って分かるの?

A 若いうちは甲羅を見れば、おおよその年齢が分かります。
甲板(こうばん)が木の年輪のようになっており、内側から数えていけば、年齢が分かります。ただ、年齢を重ねるごとに磨り減ったり、傷ついて分かりにくくなります。イシガメやクサガメはおよそ10歳くらいまでなら分かるでしょう。アカミミは年輪が薄い上に、脱皮するので、4~5歳以上になると年齢を数えるのは難しくなります。

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Q オスとメスはどうやって見分けるの?

A おしりの穴の位置を見ます。
多くのカメで、おしりの穴の位置が腹甲から離れていればオス、腹甲に近ければメスと性別を判定することができます。とはいえ、それぞれの種でオスとメスのおしりの穴の位置の違いを、一度は並べて比べておかないと、性別の判定は難しいでしょう。クサガメとアカミミでは、オスは高齢になると体が黒化します。ヤエヤマイシガメのオスは、腹甲が大きくくぼみます。

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Q クサガメは外来種なの?

A まだ結論は出ていません。
DNAを用いた分岐系統の研究から、日本には朝鮮半島と共通の遺伝子を持った集団と中国と共通の遺伝子を持った集団があることが明らかにされました。この研究および遺跡からのクサガメの発掘例がないといった調査結果や、江戸時代前期など古い時代にクサガメの存在を示す記述がないといった民俗学的研究から、クサガメは外来生物であると言われるようになりました。
日本には外部形態の異なる2つのタイプのクサガメがいることが知られており、DNAの研究で明らかになった朝鮮型と中国型に対応しています。聞き込み調査や過去のカメの分布の分析から、中国型はこの数十年という新しい時代に定着しつつあり、これは移入されたものと考えて良いかもしれません。一方朝鮮型は西日本を中心に、古い時代からすでに分布していた地域と、新しい時代に定着を始めた地域があります。クサガメは国内で養殖されてペットとして流通しているので、後者の場合は国内移入種であると思われます。
DNAの研究では朝鮮半島のサンプルが都市近郊で採集された1個体のみであることなど、不十分な面があり、今後韓国や中国、台湾と連携し、より詳細に研究を進めなければなりません。日本に生息するクサガメがすべて外来生物である可能性は否定できません。しかし現段階で、日本のクサガメを外来生物であると結論づけることはできないと言えるでしょう。

Q お寺ではカメを放してよいの?

A ダメです。
捕らわれて囲われた動物を自由にすることを仏教用語で放生(ほうじょう)と言います。放生をすれば功徳を得ることができると考えられており、カメや魚をお寺の放生池に放す放生会(ほうじょうえ)が年中行事として盛んに行われていました。
かつては近隣の川や池から捕ってきた水生動物をお寺の放生池に放していただけなので、地域の生態系や生物多様性への悪影響はほとんどありませんでした。しかし近年では、ペットのカメが大量に放されています。動物に自由を与えるのだという放生的発想を免罪符にして、飼うのに飽きたり飼い切れなくなったりした動物を野外に放逐する無責任な人が、後を絶ちません。
そのように放逐された動物はその地域に定着して、場合によっては繁殖し、在来の生物や地域の生態系、生物多様性に悪影響を与えます。したがってお寺の池と言えども、カメや観賞魚などの愛玩動物を放すことは厳禁です。

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