辺野古でジュゴンの新たな食み跡が発見されました。
保護プロジェクト部の安部です。
いつも大浦湾や泡瀬干潟の調査にご協力いただいているNACS-Jアクションサポーターの岩本俊紀さん(ダイビングショップ桜海オーナー)が大浦湾のチリビシのアオサンゴ群集の近くのウミヒルモ群落で新たなジュゴンの食み跡を5本発見しました。水深19.6mの深い場所だったそうです。
▲今回発見されたジュゴンの食み跡の写真(岩本さん撮影)
●新聞記事や写真も下記のサイトでご覧いただけます。
また、同じくジャングサウォッチ開始以来、ご協力いただいているジュゴンネットワーク沖縄事務局次長の細川太郎さんから以下のコメントが寄せられています。
==============================
大浦湾では、2011年6月にも市民団体の調査により瀬嵩沖にジュゴンの食み跡が確認されていますが、今回の確認はそれ以来となります。
前回食み跡の確認があった水深は6~8mだったのに対し、今回の確認は19.6m。
これは、これまでに国内で記録されたジュゴンの食み跡の中では、最も深い場所での確認となります。
そもそもジュゴンは一日の多くの時間を採餌に使うことが知られていますが、沖縄のジュゴンは夜間水深の浅いイノーに入り採餌していると考えられており、そのほかの時間帯(日中)はリーフの外でジュゴンが確認されていることから、日中はまだ知られていない深場の海草藻場で採餌している可能性が指摘されていました。
そして、今回その深場での採餌が確認されたわけです。
これは、沖縄ジュゴンの生態を知る上で大変貴重な発見です。
辺野古の環境影響評価(アセス)では深場の海草藻場の確認を目的に、遠隔操作無人探査機を使った調査が行われましたが、食み跡はおろか海草自体も確認されませんでした。
写真の通り深場における海草の生育状況は被度が低く、遠隔操作無人探査機を使った水中ビデオカメラの調査では、海草の確認は困難だったものと思われます。
今回はスキューバを使った潜水により食み跡が確認されましたが、広い範囲を潜水調査することはとても困難です。
国は調査効率を優先し、遠隔操作無人探査機を使った調査を選択したと考えられますが、同海域で海草を発見できなかった結果を見ると、適切な調査が行なわれなかったと言えるでしょう。
その結果、辺野古周辺におけるジュゴンの深場の海草藻場の利用状況が把握されず、基地建設によるジュゴンへの影響が過少評価されたと指摘できます。
今回の食み跡がどの個体が作ったものかは分かりませんが、大浦湾はジュゴンの重要な生息地(採餌場)であることが再確認され、基地建設によるジュゴンへの影響は避けられないと改めて指摘したいと思います。
=============================
NACS-Jも、大浦湾がいつまでもジュゴンにとって安心して利用できる場所であるよう、守っていきます。