「種の保存法」の抜本的な改正に向けた提案を、NGO共同で与野党の国会議員へ
引き続き保護プロジェクト部の藤田です。
今国会で、22年前に制定された「種の保存法」の改正案が、制定後初めて提出される予定です。
環境省のレッドリストに記載された日本の絶滅危惧種は、近年も増え続け3597種になっているのに対して、同法で保全が担保された指定種は、90種しかないなど大きな課題があります。
これらの課題を解決すべく、NACS-Jを始めとしたNGO・学会・法曹界から、抜本的な改正に向けた意見書を環境省へ提出してきました。
しかし、環境省が国会へ提出する改正案は、罰則の強化など部分的な改正に留まっています。同法の抜本的な改正を実現するチャンスは、環境省が提出した改正案を審議する「国会」が舞台となります。そのため、国会議員の理解が不可欠です。
そこで、自由民主党・公明党・民主党・みどりの風の各勉強会に出席し、「種の保存法」の問題点と、改正のポイントの解説と、抜本的な改正に向けた提案を、NGO共同で行っています(NACS-Jからの要望と提案はこちらの資料をご覧ください。
どの党の勉強会でも、「絶滅危惧種の2.5%(90種)しか指定できていないのは問題であり、なぜ指定種が増やせないのか?」が話題となり、環境省の担当者からは、「指定のための調査費が不足しているため」と説明されています。
私からは「指定のための調査費が不足していることが本当の理由であれば、NGO共同で全国から寄付金を集めて指定のための調査を実施します」と提案しています。議員からは、NGOからの前向きな提案もあったので、検討してはどうかと発言もいただきました。
しかし、本当にそれだけが指定が進まない理由でしょうか? 指定をするための情報・資金だけでなく、指定を進める制度が不足しているのではないでしょうか。NACS-Jを始めNGOからは、指定を進めるための「科学委員会」の設置を法律に明記することを求めています。
ある党からは、同法案の修正案を提出したいと提案があり、その作業をNGOと共同で進めることになりました。
NACS-Jは、日本の絶滅危惧種の保全が進むことを目指して、これからも「種の保存法」の抜本改正に向けて、活動を続けます。