温泉発電に関するシンポジウムに参加&大規模地熱発電所を視察してきました。
保護プロジェクト部の辻村です。
3月19日に、温泉発電に関するシンポジウムが大分県で開催され、パネリストとして参加しました。
このシンポジウムは環境省の主催で、既存の温泉資源を利用した地産地消型の温泉熱発電を取りいれている事例を聞きながら、その利点や欠点、課題を議論する内容でした。
私からは地熱は有限な資源であり、過剰な利用は資源の枯渇をもたらすこと、不確実性のある技術であるために、事業の立案段階から地域の方々も含めて、リスクやデメリットも共有しながら合意形成を図る丁寧な進め方が必要なことなどを提言してきました。
また、大分県は大規模な地熱発電所も多いので、そのうちの2カ所を見てきました。
訪問者を受け入れる施設では、子どもから大人までを対象に、地熱発電の利点を強調した丁寧な説明会が随時行われており、地球にやさしいクリーンで再生可能なエネルギーであることを説明していました。
しかし、周辺を見れば、その説明に疑問符がつくような景色が広がっています。
蒸気をとる井戸や廃熱水をいれる井戸、それと発電施設をつなぐパイプラインが、まるで石油や天然ガスのパイプラインと同じように縦横無尽に張り巡らされており、本当に工場地帯にいるような錯覚に陥るほどでした。
これが、国立公園の保全すべき自然環境の中にも建設されると思うと、その影響は計り知れないものだと改めて感じました。
生物多様性や地域の文化をないがしろにするような大規模な地熱発電所の建設は、国立公園などの重要な保護地域や、伝統ある温泉文化地域では行うべきではありません。