全国的にも貴重な「そうふけっぱら」が危機に!
工事の中断と保全を求める要望書を提出しました。
千葉県印西市の千葉ニュータウン21住区用地内には、絶滅危惧種27種などが生育する「そうふけっぱら」と呼ばれる大草原が残っています。
このたび全国の専門家5名にこの場所の評価を依頼したところ、その自然環境の重要性や高い学術的価値が改めて確認されました。
日本自然保護協会と亀成川を愛する会、地元37市民団体は昨年この場所の保全を求める要望書を千葉県知事及び事業者(都市再生機構・千葉県企業庁)に提出しましたが、昨年末から本格的な造成工事が再開され、重要な地区の一部が破壊されました。
そこで、改めて私たちは知事及び事業者に改めて要望書を提出するとともに、4月1日から署名運動を開始します。
● 当地は開発事業が約40年も中断していたことで貴重な自然が残されてきた場所である。
● 西脇教授(宮崎大)や高橋氏(農研機構)などの草地生態系の専門家5名に当地の自然環境について評価を依頼した。その結果、「関東平野を代表する里山環境が残されている」「極めて高い学術的価値を持つ」といった、重要性が改めて指摘された。
● 平成25年度末までに事業完了を目指す都市再生機構は、昨年末から本格的な造成工事を再開し、重要地区の一部が既に破壊された。より重要な地区も、計画上では1年以内に消滅してしまう。
● 私たちは新ためて都市再生機構および企業庁に下記①~③を求める要望書を提出しました。
①保全上重要な地区での工事の中断
②市民との協議の場の設置
③自然環境に関する総合学術調査の実施や協力
また、千葉県知事に県としての保全の取り組みの実施と事業者への環境配慮指導を行うことを求める要望書を提出し、記者会見を行いました。
2013年3月22日
千葉県企業庁長 高梨国雄 殿
独立行政法人都市再生機構理事長 上西郁夫 殿
公益財団法人 日本自然保護協会 理事長 亀山 章
亀成川を愛する会 会長 一島 正四
千葉ニュータウン21住区の自然環境の保全についての要望書
千葉県と都市再生機構が共同でニュータウン開発を進められている千葉県印西市の「千葉ニュータウン21住区」の開発用地には、地元の民話にも語り継がれる「そうふけっぱら(草深原)」と呼ばれる大草原が残っています。
ここは約40年前に事業が始まったもののその後開発が中断したことで豊かな生態系が維持されてきた場所です。これまでの調査によって環境省の絶滅危惧種27種や千葉県の最重要保護生物であるキツネが生息していることなどが判明しており、全国的にも重要な自然環境の一つとなっています(別添資料)。
最近、「そうふけっぱら」の重要性は全国の専門家からも多くの注目を集めており、全国的に見て重要な場所のひとつであるとの評価を得ています(別添資料)。
日本自然保護協会および亀成川を愛する会では、2012年7月に当地の自然環境の保全と土地利用計画の見直しを求める要望書を地元地域の37の団体の賛同を得て提出いたしました。
しかし、これだけ多くの県内主要市民団体からの賛同や、専門家から重要な場所であるとの指摘が寄せられているにもかかわらず、未だに十分な対応がなされておらず、要望書に対する回答も頂いておりません。
それどころか現地では造成工事がすすめられており、複数の絶滅危惧種の生息が確認されていた場所も破壊されています。
当地の自然環境の重要性が把握されないままに計画が進めば、さらに重要性が高いと思われる場所も破壊され、数種の県内での絶滅を確実に加速させることとなります。
このことは、千葉県および日本の生物多様性に大きな損失をもたらすことであるだけでなく、千葉県や地元印西市にとっての重要な財産を損なうものです。
全国に先駆けて2008年に策定された「生物多様性ちば戦略」では、千葉県としてニュータウン地域の里山環境の保全に緊急的に取り組むとされており、また「千葉県環境基本計画」や環境省「生物多様性民間参画ガイドライン」では、事業者は開発事業における生物多様性への影響回避等に努めることが指針や基本原則として示されています。
ニュータウン開発事業がこれらに反することなく進められ、全国的にも重要な当地の自然環境が保全されるよう、私たちは改めて以下のことを強く要望します。
要 望
(1) 千葉ニュータウン21住区内の重要な自然環境の保全やそれを活かした新たな街づくりについて検討するため、私たちおよび地元市民・印西市・千葉県知事部局等を含めた協議の場を設けること。
(2) 千葉ニュータウン21住区の自然環境に関する総合学術調査を行い、あるいは行おうとするものに協力し、検討に必要な当地の保全上の重要性や地域の財産としての価値を明らかにすること。
(3) 既に保全上重要なことが明らかである用地北側の区域については、工事をすみやかに中断すること。
以上