1996年から始めた南島のモニタリング調査の取りまとめを進めています。
NACS-Jが1996年に小笠原村から依頼され、当時、人の利用によって荒廃していた小笠原諸島の南島の自然環境調査を実施してから2012年で16年になります。2000年からは東京都の委託により、毎年モニタリング調査を実施してきました。この間、南島では、自主ルールの設定と運用、自然回復事業、外来種排除事業などが実施され、2011年には世界自然遺産に登録されるなど、南島を取り巻く状況は大きく変化してきました。
そこで、これまでのモニタリング調査の結果を整理、総括し、今後のモニタリング調査の方向性、さらには南島の保全と利用を考えていく上での基礎資料として取りまとめを行うことになりました。そのために11月16日、父島で意見交換会を開催しました。調査開始時の事情を知っている方や専門家、村をはじめとする関係行政機関、観光協会や地元のNPOなどが一堂に会しての意見交換会は初めての取り組みでした。
長い年月、予算を投入し、多くの人がかかわりながら南島のモニタリングを続けてきた結果、大きな課題であった植生破壊や土壌侵食、海鳥の繁殖率などが改善されるなど、多くの成果がみられています。今後はこうした成果をふまえつつ、自然保護と利用との両立をどう図っていき後世に引き継いでいくかを議論し、報告書としてまとめていく予定です。
(辻村千尋/保護プロジェクト部)
↓観光客に特に人気の高い扇池