2002年に立ち上げたジャングサウォッチが10年目を迎えました。
日本の海草藻場は沿岸の埋め立て、赤土流入、浚渫、台風などにより、急速に減少しています。辺野古に広がる海草藻場は沖縄島周辺で最大であり、ジュゴンやウミガメなどの餌場、また多様な生物の生息場所として重要な役割を担っています。
NACS-Jでは、オーストラリアの市民参加型海草調査方法「シーグラスウォッチ」を参考にし、2002年から「沖縄ジャングサウォッチ」の名称で辺野古で市民参加型のモニタリング調査を開始しました。
沖縄ではジュゴンを「ザン」あるいは「ジャン」と呼び、その餌を「ジャングサ」と呼ぶのでこれらの言葉を使いました。
現在までに、「シーグラスウォッチ・ジャパン」主催の調査3年間も含めると延べ339名の参加をいただき、次のことが分かりました。
10年間で分かってきたこと
- 海岸線から200~800mの調査地点で海草の種類および被度が高い場所が多かった。特にキャンプシュワブ前、御向島周辺では被度が高く、海岸線のすぐ近くから海草が生育していた。
- ウミヒルモ、リュウキュウスガモ、ベニアマモ、リュウキュウアマモ、ウミジグサ、マツバウミジグサ、ボウバアマモ(7種すべて環境省RDBの準絶滅危惧種)の生息が記録された。
- 海草藻場の中でも、海草の種類と被度が一様ではなく環境の多様性が見られる。
- 2002年以降、辺野古海域の海草藻場は海草類が常に安定的に生育している。
- ある程度の水深があり、近隣の海草藻場に比べて台風の影響が少ない。
現在、この10年間の調査を振り返ったまとめの報告書を作成中で、今年度内には完成予定です。
この結果をふまえ、改めて沖縄島最大の海草藻場である辺野古をジュゴンなどの生きものたちに残された貴重な海草藻場として積極的に保全する方法を検討していきます。
(安部真理子/保護プロジェクト部)