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2月3日 沼田眞賞授賞式・記念講演会& 特別セミナー「東北沿岸の自然は今」開催

2012.12.28
告知

『沼田眞賞授賞式・記念講演会& 特別セミナー「東北沿岸の自然は今」』ちらし<697KB/PDF>


 

沼田眞賞授賞式・記念講演会& 特別セミナー「東北沿岸の自然は今」

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自然保護に関する研究と活動を両立させている人やグループを応援する沼田眞賞。第12回の受賞者5名が決定し、授賞式と記念講演会を開催します。同日、現在、NACS-Jが進めている東日本海岸調査からみえてきた大震災や復興事業の自然環境や人と自然とのかかわりへの影響について特別セミナーも行います。皆さん、お気軽にお越しください。
●開催要項●
日時:2013年2月3日(日)
会場:清澄庭園大正記念館(東京都江東区清澄3-3-9 TEL 03-3641-5892)地下鉄(半蔵門線・都営大江戸線)清澄白河駅 徒歩4分
参加費:午前の部のみ資料代500円・NACS-J会員は無料
申し込み:郵便・FAX・Eメールで、NACS-J管理部まで氏名・電話番号・会員か否かをお知らせください。
問い合わせ:NACS-J管理部 担当・田村
TEL:03-3553-4101 FAX:03-3553-0139
プログラム
●午前の部:特別セミナー
「現場から見えてきた復興と人と自然のかかわりと、自然保護の課題」
10:00 開会挨拶/亀山 章(NACS-J理事長)
     内容趣旨説明/朱宮丈晴(NACS-J保全研究部)
10:10 NACS-J東日本海岸調査 海岸の植物のいま/ 小此木宏明(NACS-J保全研究部)
10:30 宮城県石巻市北上町の自然・コモンズ・復興/宮内泰介(北海道大学教授)
11:00 森は海の恋人 ~海の民と巨大防潮堤建設について~/畠山信(NPO法人森は海の恋人副理事長)
11:30 パネルディスカッション「現場から見えてきた復興と人と自然の関わり、自然保護の課題」
    コーディネーター:原慶太郎(NACS-J理事/東京情報大学教授)
12:00 休憩
※仙台(2月16日)・盛岡(2月17日)でも東日本海岸調査の報告会を開催(詳しくはこちら)。
●午後の部:沼田眞賞授賞式・記念講演会
13:00 開会・授賞式(12:00 開場・受付)
13:20 受賞記念講演
17:00 閉会
●沼田眞賞受賞者記念講演要旨●
巨大津波と復興事業: 仙台湾/砂浜海岸エコトーンにおけるふたつの脅威
平吹喜彦(東北学院大学教養学部地域構想学科 教授)

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長年の研究・教育・地域実践を問い直しつつ、東日本大震災の復旧・復興に役立ちたいと思い、景観生態学や環境教育、自然環境の保全にかかわる活動を共にしてきた友人たちと活動を始めました。
私たちは「海岸エコトーンの視座に立った未来志向の復興」という目標を掲げ、以下の3活動を手探りで進めてきました: ⑴「海岸エコトーンの視座」の妥当性・有用性を議論し、復興事業への導入を図るためのフォーラム・学術集会の開催、⑵土地勘のある仙台湾岸に「南蒲生/砂浜海岸エコトーンモニタリングサイト」を設置し、生態系要素の攪乱・自律的再生の実態追跡、⑶これら諸活動の発信と、成果に基づく復興事業への具体的提案・要望。
これらの活動は、自然環境分野の調査・保全活動にかかわっておられる地元専門家や市民団体、学術団体、行政機関の方々など、多くの皆さんの参加・支援の下で実現されてきました。そして、活動の中心となったのが「南蒲生/砂浜海岸エコトーンモニタリングネットワーク」です。
巨大津波で著しく損傷し、かく乱された仙台湾/砂浜海岸エコトーンの多様な生きもの、生息地、生態系は今、しなやかに力強く再生しています。一方、被災地の「海岸の自然環境は壊滅している」という誤った認識の下で進む復興・復旧工事が、特殊で多様な海岸エコトーンの貴重さ、生態系の自己修復原理を顧みることなく、机上で立案された工区・工程に沿って乱暴に推進されるとしたら、その損失は国益・未来世代に及んでしまうのではないでしょうか?
今、世界の潮流は「生きもののにぎわいと自然の恵みを大切にしながら、持続可能な社会をつくる」方向にシフトしています。ふるさとの浜辺で、減災・防災とうるわしい自然をいかに共存させるのか、相通じようとする心と賢さが試されているのです。
(写真は、仙台湾の砂浜海岸エコトーン。 撮影:鈴木孝男、2012年3月14日)
私たちが歩んできた道
上野 登(てるはの森の会会長)

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経済地理学が専門の私は、1960~70年代、祝子川源流域伐採、中霧島有料道路建設など、宮崎県内の開発への反対運動を進める中で、「宮崎の自然を守る会」をつくり、幅広い市民運動を展開してきました。83年に、町の照葉樹林の保護を進めていた当時の綾町の郷田寛町長から、町ぐるみで照葉樹林を町の財産として守り活かしていく「照葉樹林都市宣言」を行うシンポジウム企画への協力を提案され、綾町とのかかわりがはじまりました。
(→写真:綾の照葉樹林)
宮崎の自然を守る会が行っていた自然教室の関係者が中心となって「照葉樹林文化を考える会」をつくり、シンポジウムの実行委員会を務め、90年までシンポジウムは毎年開催されました。郷田町長が辞任し、シンポジウムも一時中断されましたが、綾町の照葉樹林に送電線の鉄塔建設計画が浮上したことで、2000年から再び開催されるなど、再び照葉樹林を守る動きが高まりました。05年には、「綾の照葉樹林復元プロジェクト」が発足し(今号特集参照)、12年7月、綾地域が「綾ユネスコエコパーク」として登録されました。綾町を核としたエコパーク関連自治体の連携による新たな展開にも大変期待をしています。
環境教育・自然教室・レブンアツモリソウの生態と保全  
谷口弘一(國學院大學栃木短期大学講師)(*ご本人の体調にて授賞式当日はご欠席)

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レブンアツモリソウは、花弁がクリーム色で現在礼文島のみに生育するランです。
私がレブンアツモリソウを調査したのは1979年です。当時この花はごく一部の人しか知らず、礼文島では公務員が盗掘を平然と行っていました。島民でただ一人、鉄工所の方がレブンアツモリソウの盗掘と闘っていました。この現状を見て何らかの保護を行わなくてはならないと考え、1983年にレブンアツモリソウ生育株調査を開始。人工授粉による種子形成、人工授粉種子を使った自然発芽なども試みてきました。
私がレブンアツモリソウの保護活動、生態研究に携わってから30年が経過しました。いまだに現地では盗掘問題があるほか、ここ10数年は年平均気温が2~3℃上昇しているため自花受粉率は上昇した一方、ヨシ、ススキ、ササ、リシリビャクシンなどが繁茂し、レブンアツモリソウの生育環境を狭めるなど、新たな問題にも対応しています。
森と関わり続ける「継続は力なり」
浅野正敏(NPO法人 天覧山・多峯主山の自然を守る会)

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天覧山・多峯主山一帯は、多くの歴史が刻まれた自然豊かな飯能のシンボルの地と言えます。1976年、土地利用計画用途見直しが発表され、天覧山・多峯主山が開発住宅地に囲まれた陸の孤島になってしまう状況を市民が知りました。当時の市民運動により一部を開発から守った経緯がありましたが、その後の95年に、再度、守ったはずの森も含めた開発申請が出されました。この時、当会が立ち上がり、行政や事業者に対して開発の変更を求める運動を開始しました。その後「ふるさと散歩」「谷津田の保全作業」「奥武蔵環境講座」「天覧山・多峯主山自然環境調査報告書と同資料展示会」などの活動を続けていました。
2005年、経済事情の変化から開発事業者によって開発中止が宣言され、08年に事業者は「飯能・西武の森」として保全整備していくと発表。その後、事業者、行政、市民の協働による里山保全活動が始められています。その中で行われている森の間伐や谷津田の再生整備での効果測定として、当会ではモニタリングサイト1000里地調査に参加してチェックと修正提言を行っています。また09年には、ナショナル・トラスト運動により谷津田の一画を買取りビオトープ化するとともに、里山遊び拠点として市民に開放して利用促進しています。そのほか、飯能市が進めるエコツーリズム事業にも協力し、水辺づくりやリースづくりエコツアーなどを企画実施しています。
海藻の美しさを環境へ繋げて
野田三千代(海藻おしば協会会長)

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日本で約1500種、世界中では約1万種類も存在している海藻。海藻は実はカラフルでしなやか、透明感もあって陸上植物とは一味違った魅力にあふれています。また、美しいばかりでなく海の中に森をつくり生態系の土台として重要な役割を果たし、海水の浄化もしています。
海藻おしば教室ではまず、海の森の映像を見たり、その働きなどのレクチャーのあと、漂着海藻を素材に海藻おしばづくりを楽しみます。そして、この親しくなった海藻の育つ海を汚してはいけない、という意識が生まれるのです。
(→写真:子どもからお年寄りまで、誰もが夢中になって世界でひとつの海藻おしば作品がつくれます。)
海藻の美しさを引き出したことにより、今までの地味なイメージは変わり、海の環境問題への魅力的な入口となっています。海の森の消失が深刻な問題となっている今日、復元作業が盛んに行われていますが、根本的に海の環境を改善しなければ解決しないといわれています。「海藻おしば」の啓発活動はその結果が目には見えなく、数字となって表れはしない意識改革なのですが、海の多様な生物をはぐくむ海藻の森を救う、楽しい方法でもあるのです。今後はこれまでの活動に加え、素材となる「漂着海藻の採集」による地域ベースでの生物多様性モニタリングを進めていきたいと思います。

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