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10月6日沖縄市でシンポジウム「STOP!泡瀬・辺野古・高江・大嶺・浦添~沖縄の自然環境を考える~」を開催し、シンポジウム決議を発表しました。

2012.10.15
活動報告

 

沖縄の豊かな自然環境を残そうと、NACS-Jも主催団体のひとつとして10月6日に、沖縄市でシンポジウムを開催しました。歌手のKEN子さんの司会のもと、ラムネット日本の花輪伸一さんが開会挨拶をされ、桜井国俊沖縄大学教授の「残そう!素晴らしい沖縄の自然を未来世代に」と題した基調講演が続きました。(写真1)

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▲写真1

桜井教授は「今のような自然環境破壊が進めば、私たちの地球が「人間なしに終わる」ことが予測される。種の絶滅も急激に進行し、生物多様性の特別に高い宝の島々、そして世界自然遺産候補地でもある琉球諸島が取り返しがつかない状態まで破壊される」と警告されました。

各地からの報告のセッションでは、泡瀬干潟の問題については泡瀬干潟を守る連絡会の小橋川共男さん(写真家)から、泡瀬干潟の希少で多様な海の生物たちの姿を見せていただきました。同連絡会の前川盛治さんからは、泡瀬で進む埋め立ての経緯や現状を説明いただきました。

 

高江の問題については森岡浩二さん(ヘリパッドいらない住民の会)、辺野古の問題について安次富浩さん(ヘリ基地反対協議会)、大峰海岸について高良洋さん(大嶺海岸を考える有志の会準備会)、浦添の問題についてはまよなかしんやさん(軍港反対市民実行委)と続き、沖縄島の各地で大問題が起こっていることが確認されました。この問題の根っこは1つであること、今後は沖縄全体の問題として、問題を抱える場所がネットワークをつくっていくことの大切さが強調されました。(写真2:高良洋さんの講演の様子)

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▲写真2

開催当日、岩国基地からまた3機のオスプレイが普天間に配備されることとなり、そちらの抗議行動で人を取られているのにもかかわらず、100名ほどの方々にご参加いただきました。初対面のお顔もかなり拝見できましたので、今後も一緒に活動ができたらと思っています。

フロアからの意見交換も活発に行われ、続いて琉球諸島の世界自然遺産の登録や無駄な公共工事の即時中止、オスプレイの撤去などを求めた「シンポジウム 決議」ページ下記)が会場一同で合意されました。
最後に私の方から主催団体のひとつとして、閉会の挨拶をさせていただきました。

また休憩時間には泡瀬干潟を守る連絡会の島袋和さんによるフラダンスの披露(写真3)や、JUJUMOさんによる歌、宮城秋乃さん(日本蝶類学会テングアゲハ会員)撮影のチョウの写真の展示(写真4)、ウミエラ館館長が発見されたフジイロハマグリ(絶滅危惧Ⅱ類)の貝殻の展示など、多彩な催しがありました。

メッセージをお寄せいただいた国会議員の方々も、ご協力ありがとうございました。

またNACS-J会員の方もお友達を連れてきてくださいました。足を運んでいただいたみなさま、本当にありがとうございました。

(保護プロジェクト部 安部真理子)

 

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▲写真3


▲写真4:宮城秋乃さん撮影のチョウの写真展示

桑江路子さん、宮城秋乃さん、私、KEN子さん、JUJUMOさんと(記念写真)
▲写真5:桑江路子さん、宮城秋乃さん、私、KEN子さん、JUJUMOさん



●シンポジウムで採択された決議

シンポジウム 決議

日米両政府は、県民の総意・強い願いを踏みにじり、沖縄へのオスプレイ配備を強行した。日米合意「住宅密集地上空の飛行を避ける」、「ヘリモードの飛行は基地内とする」も軽々しくほごにされた。岩国に残る3機は欠陥機であることが露呈していたが、部品交換して6日、普天間に強行配備された。そして県民を侮辱し、あざ笑うが如く、伊江島、北部、高江での低空飛行、離着陸訓練を強行している。沖縄県民の命と島の自然を虫けら同然に扱う日米両政府の態度は未来永劫決して許されない。普天間基地の即時閉鎖返還、安保条約廃棄が大きな政治課題になっている。

そのような中で、今日、私たちはシンポジウム「STOP泡瀬、辺野古、高江、大嶺、浦添(~沖縄の自然環境を考える~)」を開催した。

桜井国俊沖縄大学教授は、基調講演で、今のような自然環境破壊が進行すれば、私たちの地球が「人間なしに終わる」ことが予測される、そして種の絶滅も急激に進行し、生物多様性の特別に高い宝の島々・世界自然遺産候補地の琉球諸島が取り返しがつかない状態まで破壊されると警告している。また、自然破壊が進行している、沖縄の各地からも報告があった。

泡瀬では、絶滅危惧Ⅱ類フジイロハマグリが生息している貴重な浅海域が今年の浚渫工事で失われようとしている。1区内の新種・貴重種・絶滅危惧種も保全されず、生き埋めである。高江では住民の住む周辺で新たな米軍ヘリパット建設が進行し、オスプレイも飛来する。絶滅危惧種が数多く生息するヤンバルの森が「ゆでられ」、燃えてキャンプハンセンのブート岳の様な禿山にされる。

天然記念物ジュゴンやアオサンゴ、ウミガメの生息地、豊かな海草藻場の広がる大浦湾・辺野古海域が新基地建設で破壊されようとしている。浦添では、那覇軍港の代替施設浦添軍港建設のために、キャンプキンザー西側の絶滅危惧ⅠA類ホソエガサなどが生息する貴重な干潟が埋められる。

那覇大嶺海岸では、新滑走路建設の名目で絶滅危惧ⅠA類クビレミドロなど貴重種が数多く生息する干潟が埋められようとしている。報告にはなかったが、桜井氏の講演でも紹介されたやんばるでの林道建設で、貴重な森が皆伐され、ノグチゲラ、ヤンバルクイナに代表される固有の生態系が破壊に追いやられようとしている。

私たちは、このような、自然破壊の進行を座して看過することはできない。この沖縄の現実を広く県内外、そして世界に発信し、自然環境を守る運動、米軍基地建設の犠牲にされる事への抵抗運動、県民の命と財産を守る運動を強化しなければならない。そして、これらの問題を全県民や自然保護団体の共通の課題として捉え、共同の戦いを発展させなければならない。

今日ここに集った私たちは、以上のことを胸に刻み、戦いを強化していくことを誓う。そして次のことを強く要請する。

  1. 泡瀬干潟・浅海域埋立、やんばる林道建設などの無駄な公共工事を即時やめよ。
  2. 絶滅危惧種・新種・貴重種を保全せよ。大嶺海岸埋立てを回避せよ。
  3. 高江ヘリパット建設、辺野古新基地建設、浦添西海岸埋立など、沖縄を米軍事基地建設の犠牲にさせるな。沖縄(普天間)に配備強行したオスプレイをただちに撤去せよ。普天間基地を即時閉鎖、返還せよ。
  4. 琉球諸島を世界自然遺産に登録せよ。

宛先:
内閣総理大臣 防衛大臣 環境大臣 内閣府沖縄担当大臣 沖縄総合事務局 沖縄県知事 那覇市長 豊見城市長 沖縄市長 うるま市長 浦添市長 宜野湾市長 名護市長 東村長 国頭村長
2012年10月6日、シンポジウム「STOP泡瀬、辺野古、高江、大嶺、浦添(~沖縄の自然環境を考える~)」参加者

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