10月8日 COP11 第2作業部会 戦略計画
再び、保全研究部の道家よりCOP11レポートです。
COP11では、2つの作業部会本会議で議事が進んでいきます。と第1作業部会1では、島嶼の生物多様性と生態学的復元、第2作業部会では戦略計画についてを扱います。
第2作業部会ー戦略計画の議題では、環境省から生物多様性条約事務局に出向している吉仲さんが、担当スタッフとして議長の補佐をしています。非常に大事な議論の補佐をまかされるのはすごいことです。日本人の活躍はうれしいですね。
(←第2作業部会)
Item3(戦略計画)は、愛知目標(戦略計画)やその実施・国家戦略や国別目標の設定に必要な能力開発、コミュニケーション・教育・普及啓発(CEPA)、戦略計画実施に必要なツール(達成を図る指標、地球規模生物多様性概況第4版)など多くのテーマが含まれています。
準備会合などをもとにまとめられた決議案をもとに各国からの意見表明と文章の修正の提案などが行われます。テーマが多岐にわたるため、発言する国が多く、途中から議長が「インド政府のホスピタリティーへの感謝や、日本政府への感謝などは、みんな共通の思いなので、省略してください」というほどでした。 COP11決議案は、こちらからPDFファイルで見られます。また、ライブでウェブキャストもしています。
最初の発言はメキシコ。日本の生物多様性日本基金への感謝から始まりました。
この基金は(日本人にはほとんど知られていなくて残念なのですが)、COP10決議を実施するために、各国の能力開発のためのワークショップの開催費用などに使われています。条約のコア予算が2年間で20億円程度に対して、毎年10億円を2010年から5年間支援するというもので、CBD事務局が比較的自由に使途を日本政府に提案できるということで、途上国・条約事務局双方に感謝されています。
以下、メモの中から目に留まったものを紹介します。
全体:戦略計画(愛知ターゲット)に関しては、愛知目標の重要性やキャパシティビルディングの重要性についてはほぼすべての国で共通のようです。何カ国か「策定した」「策定中」という状況を報告したりしています。
ノルウェー:これまで条約事務局がリードをとっていたGBOの作成を、IPBESの役割にすべきと提案
ボリビア:環境の植民地化に陥らないよう、地域の多様性やアプローチの多様性を認めるとともに、生態系サービスを商品化する(取引する)ことマーケットを使った保全の取り組みへの注意喚起をしたい。愛知ターゲットを持続可能な社会を作るための枠組みとして活用することが大事。
韓国:生物多様性保全持続可能な利用法(直訳ですが)を作って、生物多様性国家戦略に法的重み付けをした
パキスタン:ABS法を作る予定。
ブラジル:愛知目標を議論するために、NGO、研究機関、先住民などからなるパネルを作った。
資金動員の必要性(ブラジルほか各国)、CEPAの重要性(ノルウェーやタイ、ベトナム)、環境条約関の連携(スイス)など
10数カ国と5−6のオブザーバー発言を残しつつ、第2作業部会はタイムアップ。残りは発言ではなく、文書を提出してほしいということになりました。