海浜自然の保護と海岸防災林復旧事業との両立に向け、計画変更の協議を重ねています。
大津波を受けた東北の太平洋沿岸の中でも宮城県・南部の砂浜海岸は質・量ともに豊かです。震災前は海岸近くまで迫っていた人の土地利用が、一度リセットされた状態が生じました。
一方で、津波でできた環境に野生生物はすぐさま戻り、かつて海辺はこうだったかと思える光景が広がりました。しかし復旧事業も計画から実施の段階に進みます。海浜自然の保護と失った海岸林や農地の復旧はうまく土地利用を分けないと両立せず、戻った自然性を震災前より悪い状態にしかねません。海岸の防災林復旧事業は土地所有に関係なく林野庁の直轄事業になりました。
▲名取海岸の後背地。渚・砂浜・砂丘・海浜植生・海岸林・湿地・生粋や真水の池や水溜り。モザイク状のいろいろなマイクロハビタット
そこで、NACS-Jの呼びかけで9月3日、この海岸を調べるNGOと森林行政が仙台森林管理署に集まり協議しました。
参加したのは、南蒲生モニタリングネットワーク・仙台湾の水鳥を守る会・宮城植物の会・宮城昆虫地理研究会の会員らとNACS-J。林野庁は本庁・東北森林管理局・仙台森林管理署、宮城県森林整備課と仙台地方振興事務所。
合意事項は、①重要範囲・箇所の図面を共同で作成する、②保存箇所を設定する、③来年度以降の事業範囲も同様の手法で協議する、④継続的にモニタリングを行う、としました。
一律・機械的な盛り土と松林づくりでは海岸は台無しになります。自然性を維持する環境のモザイクづくりが始まりました。
(横山隆一/常勤理事)
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