仙台湾の海岸林の復旧事業について地元自然保護団体と林野庁と協議してきました。
保全研究部の小此木です。
仙台湾、蒲生干潟の南から福島県との県境までは約50kmにわたる砂浜海岸が広がっており、東日本大震災前にはその多くの場所で堤防、マツ林が広がっていました。しかし、津波の影響で堤防は壊れ、マツ林も消失してしまいました。
しかし、海岸林は防災上も重要ということもあり、今年度末までに5ヶ所の海岸林、5年間ですべての海岸林の復旧を行う計画になっています。復旧では、地盤が沈下しているいるため、また根のはりを保つために2~3mの土盛を行い、そこに苗を植える計画になっているということです。
現在多くの動植物がいる地面にどこから持ってくるのか分からない土壌を盛ることは、そこに暮らす生物相を破壊することになってしまいます。
なんとかこの計画を変えるため、8月20日に続き、9月3日に第2回目の地元自然保護団体と林野庁と復旧事業に対する生物多様性保全の協議を行って来ました。
午後は仙台の林野庁・森林管理署にて話し合いを行い、「災害復旧であり、保安林でもあるため、震災前の状態に戻す必要がある」というなかで、生物多様性上重要なところで土盛などを実施しなくても保安林としての機能を果たせる場所は極力配慮するということになりました。
そのために今後、森林管理署と自然保護団体と共同で調査などを進めていくことになりました。
しかし一方で、地図には載っていないような震災前に林内にあった湿地はトンボ類や鳥類の重要な生育地でしたが、それらも場合によっては土盛の対象となる場所であり、そういう場所を位置を特定して保全することも今後の重要な課題です。
↑津波を被害受けた砂浜では、希少なカワラハンミョウ(右上)をはじめ、さまざまな生きものが力強く生きている。