地域の魅力を見える化する「マップづくり」
AKAYAプロジェクトでは、赤谷の森に残る旧三国街道を自然を楽しむ歩道として活用するためのマップづくりを進めています。
現在は三国街道の大部分が国道17号線となっていますが、赤谷の森には最大の難所であった三国峠とかつての道が未舗装のまま残されています。
樹齢200年を越えるブナやミズナラに囲まれた歩道は、四季折々、自然を楽しみながら歩くハイキングルートとして魅力にあふれた場所です。
地元の方で三国峠やその周辺の歩道の存在を知らない方はいませんが、観光資源として意識されている方が少ないのが現状です。
▲三国峠周辺のベースマップ。このほか、時期別に見られる自然を紹介するマップも作成予定
1月に地域の自然に詳しい方々とプロジェクト関係者で旧三国街道の魅力を出し合うワークショップを行い、この春から実際に現地を歩いてその魅力を確認する作業を進めています。マップの下案も出来上がり、地域の方とプロジェクト関係者で、この歩道の魅力を再認識できています。
生物多様性の道プロジェクトでは、生物多様性を活かした地域づくりの実例をつくることが活動の柱の一つです。そのための第一歩は、地域の生態系サービス(自然の恵み)をみんなで認識できるようにすること(見える化)だと考えています。旧三国街道のマップづくりも、地域の自然の魅力を見える化するプロセスとして取り組んでいます。
(保護プロジェクト部/出島誠一)
第9回「全国草原サミット&シンポジウム inみなかみ」分科会にAKAYAプロジェクトと綾の照葉樹林プロジェクトが参加します!
NACS-Jは、10月27~28日に群馬県みなかみ町で行われる「第9回 全国草原サミット&シンポジウム」(詳細は下記参照)に参加し、分科会「生態系サービスを見える化~マップづくり~」を行います。
NACS-Jが取り組む綾の照葉樹林プロジェクト(宮崎県綾町)、AKAYAプロジェクト(群馬県みなかみ町)と、サミット会場である藤原(群馬県みなかみ町)で草原の保全管理に取り組む「森林塾青水」が、「マップづくり」の取り組みについてそれぞれの事例を紹介し、地域の生態系サービスを”見える化”するという視点での効果と活用の可能性について検討します。
藤原の上ノ原「入会(いりあい)の森」は、かつては地域住民が利活用していた茅場でしたが、現在では、流域の市民団体、地元住民、行政が三位一体となり、保全と活用に取り組んでいます。春には野焼き、秋には茅刈りが行われ、ここで刈られた茅は、国指定の文化財をはじめ、地域の雲越家(くもこしけ)住宅や諏訪神社の茅葺き屋根材に使用されています。昨年は福島の震災仮設住宅の屋根断熱材にも使われました。
ここは、ススキ草原11haとミズナラ林10haで構成され、中央に十郎太沢が流れ、多種多様な動植物が生息しており、町では「昆虫等の保護を推進する条例 」の対象地に選定しています。
今回のサミット&シンポジウムが、自然と人が賢くかかわり合う地域づくりのきっかけとなり、水源地域の奥里山を流域市民で支えようという輪が広がることを期待しています。
(森林塾 青水事務局 浅川 潔)