生物多様性国家戦略にパブコメを提出。
NACS-Jは、8月に生物多様性国家戦略(案)にパブリックコメントを提出しました。主な論点は、海の生物多様性と東日本大震災からの復興・再生、そして戦略の実行性です。
国家戦略の見直しは今回で4回目で、第1部が戦略、第2部に「愛知目標の達成に向けたロードマップ」が加わり、第3部が行動計画の3部構成。NACS-Jも何度も指摘してきた「具体的な数値目標」の記述が増えるなど改善も見られました。例えば「藻場・干潟などの保全再生」では、【現状】藻場・干潟の保全・創造:4800ha(2007~10年度実績)、【目標】5500ha(2012~16年度)などです。
しかし数値は明確でも、今ある自然を残すという優先順位が明確でない自然再生や、定義があいまいなままの「里海」の推進が目立ちました。東日本大震災からの復興・再生でも、生物多様性の損失原因そのままの手法といえる大規模な防潮堤の計画が進むなど修正すべき点が多数みられました(NACS-J全意見はこちら)。
「2020年までに生物多様性の損失を止めるための効果的かつ緊急の行動をとる」ことが、生物多様性条約COP10で愛知目標を採択した各国の使命ですが、これに見合う行動計画とはいえない案でした。
国家戦略はパブリックコメントを踏まえて、10月のインドでのCOP11までに閣議決定される予定です。政府がどのように改善するか、また、第3部の行動計画に書かれている、皆さんの地域で実行される施業で地域の生物の絶滅を止め自然の恵みを受け続けられるか、戦略の実行に注目しましょう。