東松島市(宮城県)、いわき市(福島県)で東日本海岸調査の地域会合を開催しました。
6月17日に第2回の東日本海岸調査地域会合を宮城県東松島市の野蒜海岸で開催しました。
当日は野蒜海岸近くの地域に暮らしている方、自然観察指導員など約30名の方に参加していただきました。海岸のすぐ近くに暮らしていて、津波の被害にあい、仮設住宅に暮らしている方、震災後初めて海岸に来たという方もおられ、みんながまた一緒にいてくれるならば……という気持ちで今回参加してくださったとの声も聞かれ、とても嬉しいことでした。
仮設の野蒜市民センターで海岸植物についてのレクチャーなどを行ったあと、海岸に向かいました。わたしは野蒜海岸に2月、4月とすでに2回予備調査に訪れていましたが、これまでと違い今回はハマヒルガオやハマエンドウ、ハマボウフウの花が咲き、とても美しい光景でした。また、海岸の清掃も少しずつ進んでいるようで、大きな瓦礫は何カ所かに集められていました。
参加者の皆さんは、千葉県生物多様性センターの由良 浩さんより植物についていろいろ教えていただきながら、調査票に記録をされていました。この地域はかつてはハマボウフウが多く見られ、昔は漬物にしたり、刺身のツマなどとして家庭で使っていたそうです。しかし、いつの頃からか乱獲が始まり、いまではほとんど壊滅状態。それでも残っていた小さな数個体を見つけるととても嬉しそうにされていました。毎日見回りに来ようなんていう人も。
午後はふれあい調査を実施しました。地元に暮らしている方、他の地域から来た方で、海岸へのふれあい方は全く違いました。他の地域から来た方(ほとんど内陸の方でした)にとって、海岸とのふれあいはほとんど「海水浴」で、生活との関わりはほとんどないということが鮮明になりました。一方、地域に暮らしている方からは食べ物をとったことや、波や風の音、匂いなどより密接な話が聞かれました。
しかし、やはり震災の経験があまりに巨大で、それ以前の記憶がまったく思い出せないという方もおられ、恐怖は計り知れないものだったことが伺われました。だた被災された方も、この機会にもう一度野蒜海岸を訪れてみたいと思うきっかけになったのは、とても良かったと感じられました。
(2004年のデータや地図はこちらの特設専用サイトから)
6月22日には、第3回の地域会合を福島県いわき市四倉海岸で開催しました。
当日は地元のNPOの方、NACS-J自然観察指導員の方、約10名に参加していただきました。
四倉海岸は暖地性海岸植物が植栽されており、ヤシなどが生えていましたが津波で折られ、流されてしまい、残っていても幹だけというものが多くありました。一方で海浜植物は多く生育しており、1時間程度の調査で30種以上が見つかりました。
▼コウボウムギ
しかし、オニハマダイコンを始め外来種も多く、今後、どのように変化していくか調査を継続していく必要がありそうです。
(2004年のデータや地図はこちらの特設専用サイトから)
福島から岩手の範囲は多くの協力をいただき、調査が進められそうですが、青森、茨城、千葉はまだ調査の手が足りていません。協力いただける方はぜひお問い合わせください。
(保全研究部 小此木)
■お問い合わせ:
保全研究部 東日本海岸担当
電話 03-3553-4104 FAX 03-3553-0139
E-mail kaigan2@nacsj.or.jp(@を半角にしてください)