沖縄・泡瀬干潟で埋め立て工事のために移植されたサンゴの様子を調べました。
保護プロジェクト部の安部です。
泡瀬干潟では護岸の建設が進行中です。この護岸が閉じられ、土砂がかけられる前(2008年秋)に、事業者が護岸の中から外にサンゴを移植しました。
沖縄出張3日目の6月23日は、その移植先の東防波堤に行き、サンゴの様子を観察・記録しました。
移植をしなければいけない状況というのは確かにあります。ですが、この泡瀬干潟のケースの場合は、不要で経済的合理性のない構造物の建築のために無理やり元の生息地から移動させられたのですから、不幸な運命をたどっていると言えるでしょう。
写真1:泡瀬干潟を守る連絡会事務局長の前川さん。本日から急に梅雨明けした日焼け対策に革命家チェ・ゲバラの帽子をかぶっています。
写真2:基盤造成法にて移植されたリュウキュウキッカサンゴ。多くの群体が泥をかぶって死んでいます。
写真3:マット法にて移植されたスギノキミドリイシ。やはり多くが泥をかぶって死んでいます。
マット法や基盤造成法にて海底に移植されたサンゴの多くは泥をかぶって死んでいます。
写真が示しているようもともと透明度も悪く、サンゴの生息には適していない場所です。
なぜここを移植先に選んだのかわかりません。
写真4:ボンド法にて移植されたサンゴ。
一方でボンド法で移植されたサンゴ群体はうまく生き延びています。
移植技術としては上手くいったということなのでしょうが、テトラポットの上にサンゴだけが並ぶという光景は、元々の護岸の中の多くの生き物たちで構成されたサンゴ礁生態系を知っているものには悲しい光景にしか見えません。
元々のサンゴ群集の写真を2つご紹介します。早いところ工事を中止して生き延びたサンゴを元の場所に戻して欲しいものです。
写真5:2005年に撮影された護岸の中のリュウキュウキッカサンゴ群集(小橋川共男撮影)
写真6:2005年に撮影された護岸の中のオヤユビミドリイシ群集(小橋川共男撮影)