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カナダ・モントリオールの生物多様性条約科学技術助言補助機関会合(SBSTTA-16)が終わりました。

2012.05.07
活動報告
icon_douke.jpg保全研究部の道家哲平です。
カナダ・モントリオールにて4月30日から始まった生物多様性条約の関連会議に参加しています。
5月6日まで続いたSBSTTA-16(生物多様性条約科学技術助言補助機関会合 サブスタと発音)では、今年10月にインドで開催される第11回生物多様性条約締約国会議(COP11)に向けて、下記の議題の決議案が作成されました。
SBSTTA-16本会議
▲本会議のようす
1.科学技術助言補助機関の効率改善の方法と手段、特に生物多様性2011-2020戦略計画とその問題を焦点としたIPCES(生物多様性と生態系サービス関するに政府間科学政策プラットフォーム)との連携とオプションについて
2.GBO(地球規模生物多様性概況):第四版の準備
3.島嶼域の生物多様性:作業プログラム実施の評価徹底
4. 海洋と沿岸の生物多様性:
5. 生物多様性と気候変動
6. 世界植物保全戦略:決議X/17の実施における進展
7. グローバル分類学イニシアティブ:包括的なキャパシティ·ビルディング戦略
8. 新規の緊急課題
9. バイオ燃料と生物多様性:決議X/37の実施における進展
10. 誘導措置:決議X/44の実施における進展
11. 農業、森林、健康の分野での共同作業についての報告
それぞれの議題についての詳細はIUCN-Jの「にじゅうまるプロジェクト」のページで解説をし、
http://bd20.jp/sbstta-16%E3%81%AE%E8%AD%B0%E9%A1%8C%E8%A7%A3%E8%AA%AC/
今回のSBSTTAでの議論の過程も同ページで速報しています。
http://bd20.jp/category/conference/
SBSTTA-16参加者の割合

SBSTTAの参加者(登録者)は490名でした。内訳は、CBD加盟国288名(うち日本政府は11名)非加盟国9名(アメリカ合衆国)国連機関34名,政府間機関(他の条約等。IUCNもここ)32名,NGO78名, 先住民グループ(ILC)5名,企業3名,教育機関31名,その他10名(以上手集計)です。
特に、議論の的となったのは、世界分類学イニシアティブ、生態学的または生物学的に重要な海域(EBSA)などの議論、特にEBSAはアフリカ地域が非常に強い懸念を表明して、何回か会議を中断することになりました。
アフリカが協議の上、重要海域(EBSA)を記述するためのワークショップの日程等を、COP11前に可能な限り早く情報提供を事務局に求めること、アフリカの立場をSBSTTA16の報告書に記載することで、合意され、会場から拍手(安堵)が起きました。
最終文書からまず6.の世界植物保全戦略の決議案について紹介をします。
世界植物保全戦略については、目標の共通理解にあたるtechnical rationaleが合意されたほか、各国レベルの国内植物保全戦略の策定や、生物多様性国家戦略との連携を押し進めることがポイントです。土地利用や開発計画の中にも組込んでいくというのも非常に大事なポイントではないでしょうか。
世界植物保全戦略のオンラインツールキットは、各国の事例(日本の事例は、生物多様性ジャパンがリーダーシップを発揮してい作成)や、各種のツール、情報が体系的にまとまっています。
■世界植物保全戦略のオンラインツールキットのウェブサイト(英文) http://www.plants2020.net/
下記は、SBSTTA16-L文書(最終文書)からポイントと感じたところをピックアップたものです。
<COP11決議案として下記のようなことをまとめました>
COP10決議17(世界植物保全戦略)の決議において、各国は世界植物保全戦略の達成のための国内目標を打ち立て、国の計画(生物多様性国家戦略)に組込むことを改めて強調する。
 各国の連絡窓口(Focal point)を指名していないところは、指名するよう再度強調する
 今回確認された世界植物保全戦略の解説書を活用する(例えば、国内植物保全戦略の立案や更新やその国内植物保全戦略を国家戦略や土地利用計画や開発計画に組込んでいくこと)。
 愛知ターゲットのモニタリングや検討の評価と、世界植物保全戦略の評価とをリンクさせる。
 世界植物保全戦略の実施の際に、ABSに関する諸規定(第15条、事前の情報提供に基づいた同意や、利用の際の協定、名古屋議定書など)を強調する。
世界植物保全戦略のオンラインツールキットの維持と更なる開発を行なう
CITES(ワシントン条約)でも、世界植物保全戦略に取組むという決議案を歓迎する。
明日、海洋関連のレポートをしたいと思います。

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