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環境省の新たな通知「国立・国定公園内における地熱発電の取扱い」は、環境行政の後退であり看過できない

2012.03.21
要望・声明

コメント
『環境省の新たな通知、「国立・国定公園内における地熱発電の取扱い」は環境行政の後退である』

公益財団法人日本自然保護協会

本日(2012年3月21日)、環境省が公表した「国立・国定公園における地熱発電の取扱い」についての通知骨子案について、日本自然保護協会は、以下のようにコメントする。

今回の最終的な通知骨子案は、専門家による「地熱発電事業に係る自然公園等への影響検討会(以下検討会)」で合意した内容以上に、今後の課題とした優良事例の形成などの内容に踏み込んでおり、慎重な議論を踏まえたものとは言えない。

国立・国定公園は、生物多様性保全の屋台骨であり自然保護区である。この核心部に地上・地下ともにどのような影響を及ぼすか未知数であり、検証が必要な発電施設を作ることは、将来に大きな禍根を残すことになり環境行政の後退といわざるを得えない。

これまで地熱発電開発を阻害してきたものは、国立・国定公園の規制ではなく、安定操業に至るまでの不確実性である。地熱発電は、安定した資源量を確保できるかは、実際に掘ってみないとわからない。このため、いくつもの試掘や調査を繰り返す必要があり、操業までの期間が長く、かつ初期投資が大きくなる特徴がある。このため、地熱発電の開発が中々進まなかったという点も認識するべきである。

また、国立・国定公園での開発行為を、環境省が個別に自然環境への影響を判断する際には、協働型管理運営の観点からも市民や専門家を含めた公開の検討の場を作るべきである。許認可の基準が変更されるのであれば、なおさら合意形成が重要である。

日本自然保護協会では、これまでの原子力依存の社会のあり方を見直し、さらなる省エネルギーを進め、再生可能エネルギーを推進していくことは重要だと考えている。こうした観点での地熱発電そのものも重要なものと考えている。

しかし、国立・国定公園の核心部の自然環境は、一度失われたら取り戻すことはできない。省エネルギー社会の中で、本当に我々が必要としているエネルギー量と、生物多様性を損なわない方法を第一に再生可能なエネルギーシステムの導入を議論するべきである。

以上

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