丸の内・さえずり館「みんなで育てる、くらしと自然の未来像―地域戦略で生物多様性を守ろう―」で海の地域戦略の第一歩のセミナーを開催しました。
保護プロジェクト部の安部です。
3月1日から、東京・丸の内のさえずり館で企画展+セミナー「みんなで育てる、くらしと自然の未来像―地域戦略で生物多様性を守ろう―」を開催しています。
←写真1:さえずり館は有楽町駅からすぐ近くの新有楽町ビルの1Fです。
3月15日(木)と4月5日(木)は海の地域戦略についてのセミナーです。
NACS-J沿岸保全管理検討会のメンバーが2名ずつみなさまに海の話題提供をいたします。
3月15日は海の地域戦略の第一歩として、向井宏先生(京都大学/NACS-J沿岸保全管理検討会座長)と共同通信の井田徹治さんにお話いただきました。
向井先生は「日本の海を北から南まで丸ごとご紹介」と題し、海洋学の基本にも触れ、文字通り日本の北から南までの海や海の中の様子を教えてくださいました。南北に長い日本の海が黒潮・親潮・対馬海流・リマン海流などさまざまな海流に取り囲まれている様子は世界でもまれ。特に強力な暖流が日本の海の生物多様性を高く保っています。北は北方四島まで、南は沖縄もパラオもご紹介いただき、私たちも多くの海を旅したような気分になりました。
↑写真2:ジュゴンのはみ跡の説明をしている向井宏先生
次に、「ウナギとマグロから見えてくるもの~いつでもどこでもお手軽に~が地球を壊す」と題し、井田さんにお話を伺いました。
ウナギとマグロの現状は目を覆うほどのひどさです。またこれらの魚種だけではなくタラやアブラツノザメ、マサバなども他の魚種も危機的な状況です。
←写真3:みんなが知らない漁業の実態について語る井田さん
ではなぜ日本はこれに気付かないのでしょうか?ひとつにはまだまだ海の中には魚がいるからです。でも、たった1年間で資源量が前年の半分以下になるようなケースもあるので、漁業の崩壊はある日突然来ると考えていた方が良いと思います。また漁場交代と代替品の存在もやっかいです。獲れなければ次の漁場にということを繰り返せばいずれすべて失います。また代替品としてたとえば、日本のマサバの代わりにとっくの昔にタイセイサバが輸入されて置き換わっています。またシシャモも、現在市場に出回っているのは本来のシシャモではなく、カペリン(通称:カラフトシシャモ)です。
またいまだに天然資源に頼っている部分が多いのに大規模畜養が続いていることが問題です。井田さんからの提案として、環境に負荷を与えない方法で採られたMSCのエコラベルをしてある魚を選ぶなど、「責任ある漁業、責任ある企業、責任ある消費者という姿勢が大事である」が出されました。
←写真4:砂の展示物。向井先生のお話の中で出た砂浜の大切さ。各地の砂を顕微鏡で観察できるようにセットしています。