絞り込み検索

nacsj

東日本大震災の津波被災地の海岸植物群落調査を始めています。

2012.02.20
活動報告

icon_syumiya.jpg保全研究部の朱宮です。

2月16日に、来年度から実施する東日本海岸植物群落調査の予備調査を福島県いわき市で行いました。
この調査では、1996年にNACS-Jでまとめた植物群落レッドデータブック(RDB)に記載された群落の、現状を調査します。

当日は、被災地の植生調査をされている千葉県立中央博物館の原正利さんと上野駅で集合し”スーパーひたち”で水戸駅に向かい、水戸駅からはレンタカーでいわき市に向かいました。

いわき市で、現地の案内をお願いした「福島県森の案内人の会」の草野さんと合流し、新舞子海岸、波立海岸、久ノ浜、賢沼弁財天などの状況を確認してきました。

まず、新舞子海岸では、津波の影響で砂浜が半分くらいにまで減ってしまっていました。
次に、少し北上して四倉海岸の砂浜を訪れました。
ここの暖地性植物群落は比較的残っているようで、春の暖かさが戻ってくればまた草本類の新たな芽ぶきを期待できました。

20120220-higashinihontyousa-yobityousa.jpg波立海岸のスダジイ林は天然記念物や植物群落RDBに登録されています。
崖の上の斜面に広がっているため直接の津波の影響はなかったようでしたが、海岸沿いの集落は津波で破壊され、基礎だけが残っている状態です。砂浜も一部消失していました。
その先の久之浜の集落は消滅し、砂浜もなくなっているため、震災以前の風景とは一変していました。

最後に塩屋崎の近くの賢沼弁財天に立ち寄りました。ここのスダジイ林も植物群落RDBに指定されています。

市の文化財にも指定されている密蔵院楼門は、一部が震災の影響で壊れ、未だ復元の作業はされていません。
震災前は自然観察会なども行われていたそうですが、残念ながら現在は入り口の門が壊れているため通れなくなっていました。

いわき市の周辺の様子はあまり報道されてきていませんが、沿岸部の被害は甚大なものです。
今後、このいわき市についても、過去に調査した植物群落のデータと被災後の群落の状況を比較しながら、震災の影響をさらに明らかにしていきたいと思います。

前のページに戻る

あなたの支援が必要です!

×

NACS-J(ナックスジェイ・日本自然保護協会)は、寄付に基づく支援により活動している団体です。

継続寄付

寄付をする
(今回のみ支援)

月々1000円のご支援で、自然保護に関する普及啓発を広げることができます。

寄付する