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【配布資料】今日からはじめる自然観察「漂着物を探しに浜を歩いてみよう」

2012.01.04
解説

会報ページ画像

【今日からはじめる自然観察】漂着生物を探しに浜を歩いてみよう(PDF/2.12MB)
<会報『自然保護』No.525(2012年1・2月号)より転載>
このページは、筆者に、教育用のコピー配布をご了解いただいております(商用利用不可)。ダウンロードして、自然観察会などでご活用ください。

海辺の自然観察といえば夏をイメージするかもしれませんが、漂着物探しは一年中楽しめます。

特に日本海側では、冬がおすすめ。

さまざまな漂着物のうち、今回は漂着する生きものの観察について紹介します。

(中西弘樹/長崎大学教育学部教授・漂着物学会会長)


東日本大震災による津波は、城壁のような堤防を破壊し、集落までも飲み込んでしまいました。今更ながら自然の力に驚くとともに、人もほかの動物と同じく自然の中でしか生きられないことを思い知らされました。津波で飲み込まれ、がれきとなった漂流物は、北太平洋海流によって東へと運ばれています。海流は巨大なベルトコンベアーのごとく、あらゆる浮遊物を運んでいるのです。

日本列島沿いにも大きな海流があります。世界の二大暖流のひとつである黒潮は、熱帯の海域からさまざまなものを運び、その一部は日本の海岸に打ち上げられます。熱帯や亜熱帯の海域に生息し、浮遊生活をする生物は、黒潮によって運ばれます。黒潮が枝分かれした対馬暖流により、ギンカクラゲなどのように北海道まで運ばれるものもあります。

強風翌日の砂浜が観察日和

遠くから運ばれてきた漂着生物を探すコツは、漂着物の中に、海底火山の噴出物と考えられる軽石、外国製のペットボトルや使い捨てライターなど、外洋から流れてきたものがあるかどうかを見ます。どんな海岸に流れ着きやすいかも観察してみてください。砂浜は砂が堆積しやすいのと同じく、漂着物も打ち上げられやすい海岸です。

一方、磯などは侵食される海岸で漂着物が少なめです。沿岸流が変化する海岸も観察に適した場所。岬や、単調な長い砂浜の両端は沿岸流が変わりやすいので、ぜひ探してみましょう。漂着生物は年間を通して見られますが、日本海側では冬の季節風が吹く時期に、太平洋側は台風の後などに多く見られます。

日本海側ではハリセンボンのように、冬に海水温が低下すると死亡して季節風に吹き寄せられて漂着する亜熱帯性の魚類などもあります。また、しばしば集団で浮遊する動物が一度に多量に流れ着くこともあります。カツオノエボシ、ルリガイなどがその代表的なものです。大きさと数を調べると、集団の構造が分かります。

例えば大小2グループに分けられる場合は2世代の集団であることが読み取れます。熱帯植物の果実や種子も流れてきます。これらの植物は海流で生育地が拡がる、海流散布植物です。果実や種子はいつまでも浮き続けられるように、繊維質やコルク質の果皮で覆われていたり、種皮が硬く、中が空室となっています。そのような構造を調べるのも面白いでしょう。

No525-今日からはじめる自然観察ー漂着物図

鯨浜に大量に打ち上がったクリイロカメガイ の写真

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<クイズの答え>
A…モダマ(モダマは、水が浸透しやすいよう、種皮に傷をつけてまいておくと発芽します!)、B…ゴバンノアシ、C…モモタマナ

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