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IUCNアジア地域自然保護フォーラム最終日

2011.10.03
活動報告

icon_douke.jpg保全研究部の道家です。


最終日である三日目は、朝から晩までIUCNの会員向けセッションになります。

午前中は、IUCN6つの専門委員会(種の保存委員会、世界保護地域委員会、教育コミュニケーション委員会、環境社会政策経済委員会、生態系管理委員会、環境法委員会)からの報告がありました。

今回は、この6つの委員会だけではなく、新たな委員会をつくった方が良いのではないかというアイデアが、複数の人から出されました。テーマはそれぞれ別なのですが、「都市」に関する委員会と、「気候変動」に関する委員会の設立などの提案で、特に「都市」に関する委員会の設立についてはかなり現実性が高そうな雰囲気でした。

ほかにも世界自然保護会議に関する紹介、フォーラムにおけるイベントの提案方法、加盟団体が行える「発議」のプロセスなどが話し合われましたが、やや専門的な内容なので、今回の報告では省略させてもらおうと思います。

 今回の会議の参加を経て感じたことをまとめたいと思います。もちろん、分析的なことについては、今後も活動日誌で、もう少し詳しく解説できると思います。

 

1. 愛知ターゲット:
IUCNは驚くほどの熱意を持って、目標達成に取り組む姿勢を打ち出していました。今後の四カ年計画で中核に位置づけるだけではなく、事務局スタッフから目標ごとに「チャンピオン」を選び、そのスタッフに責任を持たせる形で、各目標の達成に取り組むそうです。他方で、IUCN加盟団体は、十分にその情報を持っていない、あるいは、まだその重要性を意識していないという印象を正直に受けました。

2. 人権やジェンダーなどの社会的公正への注目の高まり:
これはアジアという特徴もあるのかもしれませんが、生物多様性・自然資源を巡る公正の問題、貧困撲滅の問題がこれまで以上に「大きな課題」として強調されているように思います。同じ議論で「ガバナンス(もしくは良いガバナンスの原則)」というのがキーワードでした。関連するサイドイベントにでたので、それも含めて後日報告できればと思います。

3. アジアの開発:
持続可能な発展、Green Economyなど開発を巡る議論はたびたび行われました。韓国政府は李大統領のリーダーシップもあって、Green Growth(緑の成長)を進めるということを全面に打ち出し、かつ、この考え方をアジアの各国に取り入れてもらおうと考えているようです。しかし、会議で同じ韓国のNGOからも、Green Growthという考え方に疑問を提起するような発言が相次ぎました。ホスト国をたてながらも、IUCNスタッフも、アジアからの参加者もGreen Growthについて内心疑問を持っている雰囲気が伝わってくるのです。会場のソンド(松島)地域が、明らかに埋め立て地で、小鳥や小さな昆虫すらも見られないからかもしれません。言い過ぎかもしれませんが、日本が失敗したような都市開発を、green growthを掲げながら必死に追いかけているという印象を受けました。

しかし、それとは関係なく570人近くが参加した過去最大のアジア地域自然保護フォーラムは、韓国のホスピタリティやIUCNスタッフの昼夜を問わない準備によってなされたことも事実です。開催地への敬意と感謝を表したいと思います。

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