生物多様性条約事務局長のアーメッド・ジョグラフさんが来協されました。
広報・編集部の鶴田です。
今日は、生物多様性条約事務局長のアーメッド・ジョグラフさんが、約1年ぶりにNACS-Jにお越しになりました。
COP10から1年後の日本のNGOの活動状況、議長国のNGOの役割について、日本のNGOグループとの意見交換したいということで、NACS-Jの大会議室には、IUCN-J、国連生物多様性の10年市民ネット、CEPAジャパン、ラムネットJ、コンサベーションインターナショナル、野鳥の会、NACS-Jなどから20人ほどのメンバーが集まりました。
NACS-J道家からは、IUCN-Jが10月8日に「にじゅうまるプロジェクト」のキックオフシンポジウムを開催し、伝わりにくい愛知ターゲットの実行の難しさを克服するため、進捗・成果を見える化するプロジェクトを開始したこと、
NACS-Jほか18の団体と28の活動が登録され、今後ももっと活動を広めていくこと、
愛知ターゲットの個別の20の目標にそれぞれロゴサインをつくりアピールすることなどを説明しました。
CEPAジャパンの川廷さんからは、今年5月に設立総会を行い、
生物多様性保全の主流化のための国民運動を起こしていくこと、
環境省との連携や、IUCN-CEC、Satoyamaイニシアティブ国際パートナーシップのメンバーになったり、CEPA TOOL KITの和訳を進め、国際的にも連携しながら生物多様性の普及啓発を進めていくこと、
横浜で自治体と連携しながらの啓発イベントや、東北大とアカデミックな協力をしながら「海と田んぼからのグリーン復興プロジェクト」を進めていることなどを報告しました。
国連生物多様性の10年市民ネットワークの今井さんからは、昨年のCOP10では200もの団体がCBD市民ネットに登録し、連携活動を行い、手探りながらもCBDアライアンスの一員として認知されるような活動ができたことは大変日本のNGOにとって大きな経験になったこと、
この経験を確実につなげていくため、「国連生物多様性の10年市民ネットワーク」として5月に結成したこと、
さらに、異なる土壌の人々を幅広く巻き込み、情報を広めていく活動を目指し、名古屋で合意された決議の実行のためのフォローアップ、リオ+20(国連持続可能な開発会議)への生物多様性保全の強調などに力を入れていることなどを説明しました。
ジョグラフさんからは、まず「Congratulation!」の一声がありました。
日本のNGOの活動が、COP10後も切れずに続き、さらに高い目標をかかげて実行しようとしていることは、素晴らしい!という激励でした。
COP9では、市民ネットは結成されたものの、COP9後には解散してしまったのが非常に残念だったそうです。
日本の「CBD市民ネット」が「国連生物多様性の10年市民ネットワーク」に名前を変えたこと、国連への働きかけとしてはよい名前と思うが、ぜひ10年だけの活動に終わらせずに、生物多様性をずっと守る活動を続けて欲しいこと、
日本ならではの感性を活かし、にじゅうまるプロジェクトや愛知ターゲットのロゴやマークが非常に印象深く、非常によいツールになっていること、
日本が率先して、続くCOP11のインドをはじめ、世界各国に生物多様性保全の普及広報啓発(CEPA)をリードしていって欲しいこと、
そして、「日本からは、もっといろいろなセクターが協力して、名古屋の成果を国連の他の条約や、RIO+20の宣言の中にインプットしていかなければならない」と強調されました。
「特に国連ミレニアム開発目標(MDGs)や、RIO+20のメンバーには、生物多様性の議論に加わってきていない人々が大勢いて、温暖化対策やグリーン経済について議論していることが多いので、ここにしっかり、生物多様性保全、愛知ターゲットの実行を入れ込んでいくことが大切だ。」と述べられました。
ジョグラフさんは、明日以降も環境省の高官に面会され、積極的に生物多様性条約の実効性の確保、愛知ターゲットの達成に向けてアピールをされるそうです。
COP10の議長国としてのNGOの役割は、国際会議が終わったあとも国内活動だけでなく世界に向けてメッセージを発し、COP10の決議の実行を進めていく責務があること、ジョグラフさんの力強いアピールで、再び気が引き締まる思いがしました。