西表石垣国立公園の公園区域及び公園計画の変更へ意見を出しました。
2011年9月22日
西表石垣国立公園の公園区域及び公園計画の変更への意見
公益財団法人 日本自然保護協会
保護プロジェクト部 大野正人
資 料
西表石垣国立公園区域(拡張案)・NACS-J作図(クリックで拡大表示)
意 見
2010年の自然公園法改正によって、海中公園地区から海域公園地区と制度を変更した。それまで海中景観の維持が目的に指定されていたが、干潮帯や海上も対象として利用や捕獲の規制によって浅海域の保全をすすめることが可能となっている。
また、海洋保護区の設定目標が、生物多様性条約締約国会議COP10でも決議されたことを受け、沿岸域の自然公園において、規制が緩い普通地域から転換し、拡張していくことが求められている。
西表石垣国立公園の公園区域・計画の見直しにおいては、亜熱帯の島嶼生態系として、生物多様性上の重要な陸域と海域を保護し、それらが一体に連続性をもった環境を担保することが重要である。
特に、流域の自然性が豊かに保たれ、下流域から河口にかけてマングローブ林と干潟が発達し、藻場やサンゴ礁に連なる生態系が、この地域の自然性を特徴づけている。一方で、観光資源として、その方法なども慎重に扱わなければならないことも課題である。
今回の計画変更において、港湾区域に設定されている海域は白地もしくは普通地域にとどまり、港湾部局との調整が十分に図られずにいると思われる。具体的には、国の天然記念物指定されるマングローブ林を内包する仲間川では、河口から湾口にかけて何も計画変更がされておらず、十分に保全策が図られるものにはなっていない。
島の拠点港湾であるため、すでに航路や施設は整備されているものの、残された湾内には干潟や藻場があり、港湾区域に隣接する仲間崎小島一帯は今回の見直しで海域公園地区に変更されている。
今後引き続き公園計画の見直しがすすめられるであろう西表島北西部の陸域・海域は、重要な自然環境であるだけに、港湾区域が海域公園の指定から外されることがないよう沖縄県や国土交通省など港湾管理者と十分に協議をし保護すべきである。
なお、各地の国立・国定公園において進められている海域公園地区の拡張においても、同様のことが求められる。
以上