IUCNアジア地域自然保護フォーラム初日
こんにちは。保全研究部の道家です。
9月27日から29日にかけて、韓国・仁川(インチョン)で
第5回IUCNアジア地域自然保護フォーラムが開催されています。
IUCN加盟団体である日本自然保護協会スタッフとして、
また、IUCN日本委員会の事務局として参加しています。
この会議は、来年9月に同じく韓国・済州島で開かれる
第5回世界自然保護会議(IUCNの4年に1回の総会)に向けた
準備会合という位置づけを持っています。
これから数回に分けてその様子を報告していきます。
<全体の様子>
今回の会議は、前回の会議(2007年ネパール/カトマンズで開催)に
比べ規模も参加者も大きく、各国の環境副大臣もゲストとして
一部プログラムに参加しています(前回の会議は「治安」上の問題もありました)。
お昼の時間帯もサイドイベントのようなものが開かれ、
3日間という時間を目一杯使って、議論と交流に費やすプログラムとなっています。
<初日午前 開会式とハイレベルパネルディスカッション>
開会式は主催者挨拶(IUCN)・来賓挨拶が続きます。
ジュリア事務局長からは、最新の会員数(国家会員87、政府機関会員117、
NGO 818、国際NGO 101、パートナー33の合計1156)が報告され、
中でもアジアは近年会員数が上昇し、24カ国180近い会員がIUCNに加盟しています。
韓国は会員数10(うちNGOは5団体)という数字ですが、
現在、21団体が新規の登録申請をしており、来年には、
日本を抜いてアジア最大の加盟数を誇る国になりそうです。
ほかには、韓国環境副大臣、済州島知事、インチョン市長、
韓国国内委員会などからの来賓挨拶があり、
韓国が進めているGreen Growthという成長戦略についても紹介されました。
←ジュリア事務局長の開会挨拶の様子
ハイレベルパネルディスカッションでは、韓国環境大臣のほか、
スリランカ、タイ、パキスタンから環境副大臣、事務次官が参加し、
自国の政策についてのプレゼンが行われました。
アジアではやはり「Development」なくして自国の政策を語れないようなのですが、
少しずつ差が出始めているようです。
郊外地域における生活向上のために発展は欠かせないとしながらも、
ブータンが進めてきた国民総幸福指数(Gross National Happiness)に
関心があるというインド、1980年代(生物多様性条約のできる前!)から
生物多様性戦略や行動計画をつくってきたスリランカ、
国王からの提起から具体化してきたタイの「Sufficient economy」
(充足経済、あるいは「足るを知る」経済という訳でしょうか)を
具現化しようとしている事例などが報告されました。
<初日午後 IUCNの四カ年計画(2013-2016)とワン・プログラム・アプローチ>
初日午後は、IUCNの全体事業計画についての議論です。
今回からこの全体事業計画は、よりIUCN会員や専門委員会、
事務局全体で実行しようという要素を強く打ち出そうとしています。
つまり、NACS-JなどIUCN会員もこの事業計画を
意識した活動をしてほしいという、そういう性格のものです。
いくつものポイントがあるのですが、一番大きなものとして、
「愛知ターゲットにIUCNとして全力で取り組むこと」、
「公正(equity)や権利(right)と生物多様性のかかわりを
IUCNの中核事業として位置づけること」が原案として出ています。
このプログラムについては、IUCNの活動であるだけではなく、
世界の生物多様性にかかわる人々が参照とするものでもあるので、
たくさんの人から多くのコメントが出ました。
国境横断型アプローチをもっと強調してほしい、
海洋保護区をもっと強調して欲しいなどの声があがっています。
←IUCNプログラムの紹介
←展示の様子(日本の震災についてのポスターも掲載)